相続・事業承継 事業承継
連載医師も顧客も幸せになる「動物病院の第三者事業承継」【第10回】

ハッピーリタイアに成功した獣医師が語る「動物病院繁盛」の秘訣

動物病院

ハッピーリタイアに成功した獣医師が語る「動物病院繁盛」の秘訣

前回に引き続き、ハッピーリタイアに成功した、宮城県仙台市・丘の上動物病院、弓木秀次郎前院長へのインタビューを取り上げます。※本連載は、動物病院事業承継コンサルタントの西川芳彦氏の著書『なぜ8割の動物病院が廃業になるのか』(河出書房)の中から一部を抜粋し、動物病院の第三者事業承継のメリットをご紹介します。

50代からの開業でも高い売り上げを達成できた理由

前回に引き続き、宮城県仙台市・丘の上動物病院、弓木秀次郎前院長へのインタビューです。

 

Q5 普通ならば体力が限界を迎え始める50歳代から開業されて、それから20年で仙台で上位の売り上げに入るまでに病院を成長させてこられました。リタイアした今だからこそ言える、弓木先生の飛躍の秘訣をお教えください。

 

A5 秘訣と言えるかどうかはわかりませんが、私が大事と思っていたことをお話ししましょう。

 

まずは、自分の今の価値がどれくらいなのかを知ることでしょう。動物病院の経営は基本的には患者が来院するのを待つ、「待ち」です。しかし、これほど当てにならないものはありません。

 

待つのを少しでも減らして、「攻める」。1つには、ワクチンや定期健診の案内を出すとか、駅前広告を出すとか。攻めの方法は考えればもっともっと出てくるはずです。こうした攻めの努力をして患者さんの数が増えてくれば、自分の評価が上がったのだと捉えればいいし、逆に減れば、評価が下がったことになる。

 

こうして自分の価値は、はっきりと知ることができます。これを日々、自覚していることです。

 

そして次に、自分のキャリアを知ることです。私は、避妊手術に最初は1時間半かかっていたのが、10数年間で45分でできるようになりました。これが、10数年間のキャリアという意味でしょう。今までできないことができるようになったとか、短時間でできるようになったというのは、日々の努力が実った結果として自分のキャリアとして自覚することですね。

動物病院を流行らせるには「心理学」の観点も必要

そして3番目が心理学ですね。なぜ動物病院の経営なのに、心理学なのか、その理由がわかりますか。

 

20年間くらい獣医師をしてくると、身なりに関係なく、この人は金持ちなのか、そうでないのかが見分けられるようになってきます。つまりは、人を見抜く目ができるということなのですが、そこで1つの営業テクニックがあります。

 

診療ではその人に「高いですよ」と言っておいて、いざ窓口で会計する時にはまあまあの金額を請求する。飼い主は金額に安心して、ああこの病院に来てよかったなと思ってくれます。これは心理戦です。

 

もう1つ、事例をあげれば、飼い主さんが持ってこられたお土産をどうしていますか? 看護師と病院内で食べていますか?

 

このお土産を病院内の人で食べないことも、1つのコツです。それは、患者さんたちに返すのです。すると、「もらったよ」と喜んでくれて、またその人が今度持ってきます。

 

これを繰り返しているうちに感謝されるようになってきます。看護師さんたちと食べてしまうと、そこでおしまい。これも心理を利用した方法です。

 

普通獣医師は技術ばかりを重視しますが、営業とか、マネジメントとか、心理学の大切さはまず理解していません。技術さえあればなんとかなると思っている人が多いのかもしれませんが、私はヒトとヒトとの付き合い方を勉強することが経営では一番大事なのではないかと思って、実行してきました。

 

患者さんは物、お金には十分満足しています。患者さんの心に訴えて感謝されるパフォーマンスが一番患者さんは満足すると思います。

自分の心身に起こる「引き際のサイン」を見逃さない

Q6 自分のリタイア時、引き際を見極めるポイントがあれば教えてください。

 

A6 「自分自身がやっていることに少しでも不安や迷いを感じたら、すぐにリタイアを決心した方がいい」というのが私の考えです。リタイアの時期を決めるのは、早ければ早いほど、承継してくれる人もでてきます。

 

決断したらすぐに動くことです。タイミングが一番です。その潮時を見極めるポイントは、「年齢はプラスにはならない」ということです。①言葉、②物忘れ、③技術低下、④疲れ、この1点でもマイナスを感じたらリタイアを覚悟した方がいい。まだまだ平気だというのであれば、平気なように頑張らなければなりません。

 

「先生、いつまでやるの」と言われた私の経験からすると、飼い主さんたちはきちんと先生の限界を見抜いていることを忘れないことです。

 

では、どんな時が引き際なのか、具体的にみていくと、まずは、椅子に座ったままの診療になる時ですね。立っていられないのですから、もう体力的に限界であることを知る時期に来ているのです。

 

そして、どの薬を処方するのかを看護師に指示できなくなった時です。「あれ、あれ」と言い出したら、リタイアのシグナルです。自分では鎮痛剤のつもりで出した薬が、実際はそうではなかったことがある。これは、要注意段階に入ったということです。

 

また、1日が終わって、ああ、疲れたなという感じになった時です。これはもうリタイアしてもいい年になってきたよという身体のシグナルです。

 

こういうリタイアのシグナルがありますから、それを見逃さず、そして気付いたら、即座にリタイアと腹を決めて次の行動をするべきでしょう。これが自分も、飼い主さんも、ワンちゃん、ネコちゃんもハッピーになれる方法だと思います。

西川 芳彦

株式会社メディカルプラザ 代表取締役

1958年滋賀県生まれ。動物病院事業承継コンサルタント。
東京海洋大学卒業。1995年から動物病院の開業コンサルティングを開始、全国に300 件以上の開業支援実績がある。2008年から動物病院の事業承継コンサルティングを開始、全国に80件以上の実績をつくる。動物病院開業セミナーを20年間で計252回開催、日本臨床獣医学フォーラム年次大会にて講演多数。
主な著書に、『なぜ8割の動物病院が廃業になるのか~事業承継の成功事例16~』(河出書房)、『動物病院で獣医師として生きる―新時代の勤務医・開業医スタイル』『ザ・ビジョン―プロフェッショナル獣医師による新型動物病院組織』(以上、アイシーメディックス)、『入門 院長のハッピーリタイア&獣医師のハッピースタート―動物病院の「第三者事業承継」時代がやってきた』(インターズー)ほか多数。無料情報誌「動物病院の事業承継を考える」を全国約1万件に毎年配布している。

著者紹介

連載医師も顧客も幸せになる「動物病院の第三者事業承継」

なぜ8割の動物病院が廃業になるのか

なぜ8割の動物病院が廃業になるのか

西川 芳彦

河出書房

ペットを飼っている人ならしばしばお世話になる動物病院。しかし、この動物病院の8割が、院長の引退と共に廃業していることをご存知だろうか。今の日本の獣医業界は、大多数の獣医師が引退して廃業し、大多数の獣医師が新規開…

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