弁護士法人みずほ中央法律事務所・司法書士法人みずほ中央事務所の代表弁護士である三平聡史氏は『ケーススタディ 多額の資産をめぐる離婚の実務 財産分与、婚姻費用・養育費の高額算定表』(日本加除出版)のなかで、富裕層の離婚問題について様々な事例を取り上げ、解決策を提示しています。

離婚となるも…夫婦の財産「1億円 vs 4億円」で大モメ

【ケース1】

男性(夫)と女性(妻)は婚姻しました。婚姻後に、夫は株式会社Aを設立し、事業を始めました。夫は、会社Aの株式のすべてを有していました。その後事業の規模は拡大し、従業員は約20人に達しました。やがて夫婦の仲が悪くなり、妻が離婚をしたいと告げ、夫も離婚することについては承服しました。ここで、株式の評価について大きな見解の違いが生じました。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

<争点(見解の違い)>

夫:夫婦共有財産は1億円(株式の評価額は7000万円)である。その30%である3000万円が清算的財産分与の金額である。

妻:夫婦共有財産は4億円(株式の評価額は3億5000万円)である。その2分の1である2億円が清算的財産分与の金額である。

 

<結論>裁判上の和解成立

離婚する。会社Aの株式を分与対象財産に含める。婚姻後の株価の上昇分を分与対象財産として計算する。夫が妻に解決金として5000万円を支払う。

次ページ結婚前の「夫の預貯金」が資本となっていた…

本連載に掲載しているケースは、解決に至った事例を基にして、その一部を変更し、また複数の事例を組み合わせてまとめたものです。もちろん、同種案件の処理において参考となるよう、本質的な判断のエッセンスは残してあります。一方で、判断プロセスや解決結果にはほとんど影響を及ぼさない事情については記載を省略しています。なお、ケースの背景事情等については、あくまで架空の設定であることをおことわりしておきます。

ケーススタディ 多額の資産をめぐる離婚の実務 財産分与、婚姻費用・養育費の高額算定表

ケーススタディ 多額の資産をめぐる離婚の実務 財産分与、婚姻費用・養育費の高額算定表

三平 聡史

日本加除出版

高額所得者の場合の財産分与、婚姻費用・養育費算定はどうなる? 標準算定表の上限年収を超えたときの算定方法は? 54の具体的ケースや裁判例、オリジナル「高額算定表」で解説! ●不動産や会社支配権、その他高額資産を…

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