資産承継の問題を解決する「生命保険」の活用法とは?

今回は、資産承継の問題を解決する「生命保険」の活用法について見ていきます。※本連載は、司法書士・河合保弘氏の著書、『種類株式&民事信託を活用した戦略的事業承継の実践と手法』(日本法令)の中から一部を抜粋し、種類株式や民事信託などを活用した具体的な事業承継対策について、様々な実例を用いて解説していきます。

相続税対策で忘れがちな「納税資金の準備」

資産承継において特徴的に表れる課題として「相続税」と「遺産相続」があります。

 

まず「相続税」に関しては、まさに2015年1月から基礎控除額が引き下げられ、課税対象となる相続が倍増すると言われている矢先であり、様々な節税対策に関する書籍やセミナーが数多く開催されていますが、意外と見落としがちなのが「納税資金対策」です。

 

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実際、中小企業経営者は自らの人生の多くの部分を会社経営に賭けていることから、相続の対象となる財産の多くが自社株式であったり、あるいは会社が使用している不動産であったりして、意外と現金や換金が容易な金融資産を持っていないケースがよくあります。

 

しかし現行の相続税制においては、不動産は当然のこと、売却不可能な自社株式に対しても容赦なく課税されることになっており、そんな場合には相続人が相続税を納税できないというリスクが発生することが考えられますし、また納税資金を確保するために、被相続人が希望していたような内容での遺産分割ができないということも有り得るのです。

相続税の納税資金をは死亡保険金作ることが可能

そこで考えられる非常に有力な手段が、生命保険の活用なのです。

 

生命保険には「保険契約者」・「被保険者」・「保険金受取人」という3種類の登場人物があり、例えば事業承継の局面において、現経営者が保険契約者兼被保険者となり、保険金受取人を後継者としておけば、保険料は現経営者が負担し、被保険者である現経営者の死亡により、死亡保険金は後継者が直接受領することになって、それを相続税の納税資金に充てることができます。

 

また、保険契約者と保険金受取人を会社とし、被保険者を現経営者としておけば、死亡保険金を原資として現経営者に対する死亡退職金を後継者に支給するというスキームを作ることができ、さらにその場合には保険の種類にもよりますが、支払った保険料の半額が経費となり、そこでも節税を図ることができるのです。

 

また、死亡保険金や死亡退職金に関しては、税制上では「みなし相続」として相続税の課税対象となりますが、500万円×法定相続人数の非課税枠があるという点でも優遇されています。

生命保険の加入で資産の圧縮も可能

次に「遺産相続」の方ですが、被相続人がした生命保険契約における死亡保険金や、受給権者の定めがある会社が支給した死亡退職金は相続財産には含まれず、直接に保険金受取人の固有財産となる取扱いとなっていますので、保険料を支払うことによって、相続財産の総額を圧縮する効果が期待でき、例えば遺留分請求の対象財産を減らしたい場合や、会社の株価を適正に下げたい場合等にもに活用できます。

 

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しかし、生命保険は契約なので、保険契約者本人が自らの意思で保険会社との契約を締結しなければならず、かつ契約者の体調が悪い場合や持病がある場合には、審査によって加入できる保険は限定されてきますので、これまでにご紹介してきた遺言や民事信託以上に、早めの対応が必要となるのです。

本連載は、2015年3月30日刊行の書籍『種類株式&民事信託を活用した戦略的事業承継の実践と手法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

司法書士法人ソレイユ 共同代表司法書士
企業再建・承継コンサルタント協同組合(CRC)常務理事
宮城県亘理町観光親善大使 

1993年に司法書士登録、2013年に同職の杉谷範子と共に司法書士法人ソレイユを結成。予防法務とリスクマネジメントを専門とし、個人の財産管理や中小企業の企業再生・事業承継のために民事信託や遺言、種類株式等を駆使した総合的支援を主業務とする。
近年は出版と講演に注力し、後継者の育成に努めている。

著者紹介

連載事業承継の実例から学ぶ種類株式・民事信託活用法

種類株式&民事信託を活用した 戦略的事業承継の実践と手法

種類株式&民事信託を活用した 戦略的事業承継の実践と手法

河合 保弘

日本法令

日本経済が成熟期を迎えた今、発展期に創業されたオーナー経営者の方々は高齢を迎え、事業の第一線から退くケースは非常に多い。 それに伴い、事業承継に関わる本も多種発行されているが、その中でも「事業承継=相続」という構…

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会場 幻冬舎本社ビル内 セミナー会場

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