スリランカで存在感を高める「フィンテック」

スリランカの提携メディア「ECHELON」の記事「金融の近未来~世界で起こる金融・決済システムの発展はスリランカの家庭にどう影響する?」 を前編・後編に分けて掲載します。前編の今回は、スリランカでのフィンテックの現状を紹介します。

金融危機をチャンスに変えた!?

金融とインターネットが発展した今、金融Financeと技術Technologyを組み合わせたフィンテック(FinTech)という分野に注目が集まっており、例えば銀行を介さずに、インターネット上で人と人が直接に結びつくピアツーピア(P2P)型の決済システムは、これまでの金融制度を大きく変える可能性を秘めている。

 

特に途上国では銀行などの社会的インフラの整備が遅れている一方で、携帯電話が広く普及し、また海外で働く人々からの送金需要も多いため、P2P型の決済システムには、大きな期待が寄せられている。

 

2008年に起きた金融の混乱は、既成の銀行ならびに金融システムを確固たるものとして当然視していた多くの者にとって驚天動地な出来事であった。レバレッジを用いるなどのリスク負担に対する厳しい規制と監督は、以前は預金者と口座名義人を十分に補償すると思われていた仕組みが実に不適切であることが証明され、そのことにより人々は財務状況の透明化とその管理強化をより一層求めるようになった。

 

この金融危機は、まさにその透明化や管理強化の具現に取り組んでいた多数のテクノロジー系スタートアップ企業※1にとっては思いがけないタイミングで起き、おそらくLending Club社やOnDeck社などの企業にとってはひとつの転機になったことだろう。この2社は貸し手と借り手をマッチングさせるピアツーピア(P2P)型※2 プラットフォームを提供している。この仕組みを通じて、余剰資金を保有する貸し手は融資を切望する多数の個人や企業の中から貸付先を選択できるのだ。金利や融資の条件は貸し手と借り手の2者間で交渉されるため、このサービスのビジネスモデルは本質的にセルフサービス型銀行だと言えるだろう。

小規模事業者が自力で資金調達をすることを可能に

いずれの企業も決して新興企業ではなく上場もしていて、Lending Club社の時価総額は80億ドル以上にも達する。送金システムは従来銀行業務の領域だと見なされていたが、P2P送金サービスはフィンテック企業にとって注目すべき新たな隙間市場となった。登録メンバー間で送金できるモバイルアプリVenmoでは、毎年10億ドル相当を超える決済がなされている。

 

ただ、この国際的進展が、ここスリランカでどれだけの影響力を持つか予測するには時期尚早だ。スリランカの銀行規制は、株式型クラウドファンディングや借入資本のみならずPayPalを使った海外送金の受取さえも禁止している。企業がウェブ上のプラットフォームで資本を増強するという概念は依然斬新であり、一握りの国にしか認められていない考えなのだ。もしこのアイデアが広まり成功を収めれば、規制当局が現行制度の全体的な見直しを検討する可能性がある。

 

これらのオープンマーケットがもたらす潜在的な利益を考慮するとなおさらだろう。農家や漁師といった地方の小規模事業者の大半が日々の運転資金のために高利貸しに頼っている。このような事業者の多くは他に資金を調達する術を持っていない。そのため、これらの短期貸付により桁外れな金利を支払わざるを得なくなっている。

 

更に彼らは独占契約にも拘束され、融資する実業家にしか生産品を売れないのだ。最終的には、サプライチェーンの非効率化と消費者にとって価格の歪みが進むこととなる。ウェブ上のオープンマーケットが莫大な利益をもたらすことは明らかだが、言うまでもなく非銀行利用者層を想定した新たなるリスク評価モデルの構築が必要だ。

 

後編ではフィッテック企業の新たな挑戦と課題についてご紹介します。

 

※1スタートアップ企業

スタートアップとも呼ばれる。新しいビジネスモデルを開発し、短期的に大きい成長を狙う企業体のこと。

※2 ピアツーピア(P2P)

peer-to-peer(peer=同格者・対等の者)とは「対等な者同士の間の」という意味。通信技術の一分野を指す用語として用いられていた言葉が転じ、ここでは銀行などの大きなシステムを介さず、ユーザー同士が直接つながることが出来るサービスを形容している。特にP2Pによって融資を行うことは、ソーシャルレンディングとも呼ばれる。

 

 

 

本記事はGTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年6月22日に掲載した「The Next Chapter of Finance What effect will global developments in finance and payments have here at home?」http://www.echelon.lk/home/the-next-chapter-of-financeを翻訳・編集したものです。

ECHELON

『ECHELON(エシュロン)』は、スリランカの三大ビジネス誌のひとつ。著名な経営者・ビジネスパーソンのインタビュー記事から、同国の金融・経済・投資・不動産などの最新事情、ラグジュアリーなアイテムやライフスタイル等の記事を幅広く掲載。経営者層やハイクラスなビジネスパーソンなど、同国の物的・知的富裕層を多数読者に抱える。(写真はチェアマンのChanna De Silva氏)

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