株価引き下げなどに効力を発揮する不動産の活用ですが、実際の利用にあたっては留意点も少なくありません。本稿でポイントを見ていきましょう。

不動産の購入は「リスク」を必ず考慮する

土地や建物などの不動産には、現金とほぼ同等の信用力があり金融機関の担保力があります。人気エリアの不動産なら、万一のときでも優れた換金力を発揮できます。不動産に置き換えておくことで、事業承継にもメリットが期待できます。
 
例えば、後継者のために1億円の土地・建物を購入し、会社の社宅にします。1億円で土地と建物を購入すれば、この分の資産を60~70%まで引き下げることができます。億ションのタワーマンションだって構いません。ただし、社宅が豪華なときは、相場に近い家賃を取る必要があります。
 
また、不動産を取得し、不動産賃貸事業を始めた場合は、新たな収益事業として後継者に残すこともできます。もし、資金が足りなければ銀行から融資を受けます。そうすれば資産を減らし負債を増やせるので、純資産そのものを減らす効果がでます。
 
そのほか、実際に不動産を取得する際は、次のような点に注意してください。


(1)取得後3年以内に土地が高騰し、相続が発生すると、借入金額より相続税評価額のほうが高くなる可能性があるので、長期的な計画を立てる。
(2)土地の評価額が上昇する局面では、建物の比重の高い賃貸物件を購入するほうが有利になる。
(3)購入する不動産は高額であるほど純資産を減らし株価を押し下げる効果があるが、反面、一般向けの事業の場合は空室リスクや、転売時の評価減リスクが高くなる。

設備投資の減価償却費で資産を減らす

将来の新規事業を見込んで、新しい工場を建てたり、工作機械を購入したり、チェーン用の店舗を購入したり、コンピューターや新しいシステムを導入したりなど、後継者のために積極的に設備投資を行うことも考えられます。
 
事業用に購入された設備は、10万円以上であれば「資産」になり、毎年減価償却費としてB/Sで損金処理することで資産が圧縮され、純資産を引き下げる効果があります。ちなみに、減価償却の期間は事務所用のビルで50年、エレベータ17年、商標権10年、パソコンは4年、ソフトウエアは5年となっています。

 

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