東京五輪による地価上昇で人気に火がつき、注目を集める不動産投資。気になってはいるものの、具体的な事例を知らず、始めるのには抵抗がある…という方もいることでしょう。そこで本記事では、収益不動産を通じ、購入から運用・売却まで一貫した資産形成をサポートしている大和財託株式会社の代表・藤原正明氏が、不動産投資の事例を紹介します。

自身の定年後の「子供の教育費」を確保したい

【一部上場企業勤務 K様 51歳・男性 大阪府高槻市在住

家族構成:奥様、お子様1人

年収:700万円

金融資産:1,000万円(現金1,000万円)

所有不動産:自宅(借入なし)、土地(借入なし、相続)

 

◆不動産投資をはじめるきっかけ、経緯

 

K様がお子様を授かったのは40代後半。お子様の教育費がかかる時期には定年退職あるいは再雇用になり、今と同じ収入を維持することは難しいと感じていました。そこで、何か資産運用や事業・副業ができないかと考えていたそうです。

 

K様は1年前に相続が発生し土地を相続していました。この土地を活用し何かできないか検討したところ、大手ハウスメーカーや地元不動産会社など数社から「賃貸アパートを建築し、一括借上(サブリース)で安定経営ができます」と提案されたそうです。

 

ところが、各社の建築見積と事業計画書を眺めていたときに、こんな疑問を持ちました。

 

「なぜ自分の土地にもかかわらず、利回りがこんなにも低いのだろうか」

 

K様としては、土地への投資はないため建築費のみ追加投資となるはずです。ですから投資パフォーマンスは高くなると考えていたのですが、事業計画書を見るとサブリース後の利回りは低く、月々の返済後の手残りもわずかでした。そこで、さまざまな書籍やセミナーで勉強していったそうです。

 

相談会に来たK様の要望や目標をヒアリングし、当社からは「土地に対しての愛着がなく、今後もずっと守り続けていく必要性を感じていないのであれば、その土地を売却して現金を作り、それを元手に新たに投資をしてはいかがでしょうか?」と提案しました。

 

あるいは土地を残したまま共同担保用不動産として活用する方法もありましたが、投資の自由度を考えると、先の提案がベストという判断です。K様はその後、実際に土地を5,000万円で売却し、当社に運用をお任せしたいと依頼されました。

 

目標▶年間600万円の税引後CF(キャッシュフロー)

提案ポートフォリオ▶[投資総額]3億円

 

ただし、1棟目から億単位の投資を行うことには慎重だったため、個人属性を利用したパッケージ型アパートローンで購入できる範囲の物件をご紹介しました。小規模の物件からはじめて徐々に大きくする方針です。

 

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●購入物件1棟目(兵庫県尼崎市、築26年、重量鉄骨造1棟アパ-ト)

金額:6,000万円

満室想定家賃:550万円

購入諸費用:400万円

表面利回り:9.16%

FCR(総収益率):6.7%

 

【資金計画】

自己資金:600万円

借入金:5,800万円 内容 ⇒ アパートローン金融機関、金利2.5%、期間27年、ローン定数K(借入れに対する年間返済額の割合)5.1%

YG(イールドギャップ:手元に残る利益率)=FCR6.7%−K5.1%=1.6%

・税引前CF(キャッシュフロー)

税引前CF=自己資金600万円×FCR6.7%+借入金5,800万円×YG1.6%≒130万円

※減価償却をうまく計上し、ほぼ税金がかからないアレンジを行っています。

家族と共同で出資し、2棟目も購入

1棟目を購入し、実際に数カ月運用した頃、当社に水面下で優良な大型物件の情報が入ってきました。物件価格が高騰するなか、人気エリアにも関わらず売買価格と積算価格がほぼ同じで利回りもRC造としては高いという物件です。

 

K様の方針は理解していたため当社としては紹介する予定ではなかったのですが、タイミングよく連絡の機会があり、物件の概要のみお伝えしたところ「ぜひ取り組みたい」と即決いただきました。そこで、すぐに融資や購入手法についての提案をさせていただいたのです。

 

融資に関しては当社と取引のある地方銀行を紹介し、良い条件を取り付けることができました。購入では、今後の相続などを考慮したうえで奥様が80%、K様が20%を出資する形で資産管理法人を新設。個人・法人合わせて、目標キャッシュフローの達成を実現することができました。

 

●購入物件2棟目(大阪府高槻市、築20年、RC造1棟マンション)

金額:2億5,000万円

満室想定家賃:2,100万円

購入諸費用:1,500万円

表面利回り:8.4%

FCR(総収益率):6.0%

 

【資金計画】

自己資金:1,500万円

借入金:2億5,000万円 内容⇒地方銀行、金利1.2%、期間30年、ローン定数K(借入れに対する年間返済額の割合)4.0%

YG(イールドギャップ:手元に残る利益率)=FCR6.0%−K4.0%=2.0%

・税引前CF(キャッシュフロー)

税引前CF=自己資金1,500万円×FCR6.0%+借入金2億5,000万円×YG2.0%≒590万円

 

◆今後の展開

 

K様は当初の目標をすでに達成。今後の意向としては、急に投資規模を大きくせず、じっくり運用に力を入れながら良い物件があれば追加投資をしたいとのことでした(目標キャッシュフローは800万円に再設定)。また2棟目がK様の自宅から近いため、賃貸管理全般は当社に委託しつつ、自身でも定期的に訪問してメンテナンスをされています。物件巡回時には時々お子様を連れていき、一緒に管理することが楽しみの一つとなっているそうです。

 

※事例は実例を紹介していますが一部編集しています。また、理解することに重きを置くために数値を簡略化しております。不動産取得や売却に係る諸経費は考慮していません。税金計算についても、概算値を採用しています。

 

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