「小規模宅地等の特例」の対象となるための条件とは?

前回に引き続き、「小規模宅地等の特例」の対象となるための条件について見ていきましょう。

特例の適用に向けた「準備」をすることも重要

前回、「小規模宅地等の特例」の対象となる土地は3種類あると説明しました。

 

①被相続人の住宅の敷地

②被相続人が事業をしている建物の敷地

③被相続人が賃貸事業を営む建物の敷地

 

今回は、②と③の詳しい条件について見ていきましょう。

 

②被相続人が事業をしている建物の敷地

 

【概要】

 

●被相続人または被相続人と生計を一にしていた親族が事業を行っていた土地について、平成26年12月31日までの相続については、400㎡まで80%減額されます。

 

ただし、住宅の特例と併用するときは調整計算をして、合計400㎡までが適用対象の最大面積となっています。相続税法改正により平成27年1月1日以後の相続については、この調整計算が不要となります。住宅の特例330㎡と事業用の特例400㎡を合計した730㎡まで、限度いっぱい適用できるようになるのです。

 

調整計算が廃止されるのは、今回の改正で大幅な基礎控除額の減額があったためです。地価が高い地域で事業を行っている人や、その地域に長く住んでいる人たちが、相続税を支払えないためにやむなく廃業したり、老齢になってから転居を強いられたりすることがないように、との配慮からです。

 

ただし特例の適用を受けるには、一定の期日までに事業を承継して継続すること、相続した土地を相続税の申告期限まで所有することが条件となっています。

 

●被相続人やその親族が50%以上の株式保有割合を持つ会社が、被相続人から土地を賃借して使用する場合も、この特例の対象として80%の減額ができます。ただし適用を受けるには、土地を相続する人が、「この会社の役員であること」「相続税の申告期限までこの土地を所有していること」という条件を満たす必要があります。

 

相続人がこの特例の適用を受け、相続税の負担が軽減されるよう、準備を進めておくようにしましょう。

特例活用による節税は「新たなコスト」を必要としない

③被相続人が賃貸事業を営む建物の敷地

 

【概要】

 

●被相続人が賃貸事業用建物の敷地として使用していた土地は、200㎡までは50%の減額が適用されます。相続人が被相続人の親族または被相続人と生計を一にする親族であることが条件です。

 

こちらは前記①、②の特定居住用宅地、特定事業用地の特例と併用するときは、200㎡全部には適用できません。有利に適用するためには、複雑な調整計算が必要となります。

 

ですから、複数の土地をお持ちのケースでは、どの土地で「小規模宅地等の特例」の適用を受けると相続税の価額でもっとも有利になるのかを検討し、適用に向けた準備を整えることが大切です。

 

相続税対策では、賃貸用建物を建てるなど、多額の投資や一定の費用を必要とするものが大半です。そんななか、この「小規模宅地等の特例」による節税は、新たなコストを要しません。ローコストでこれだけの効果を上げる節税法は他にありませんから、ぜひ利用したいものです。

 

ここまではご相談の多い不動産を事例に挙げ、対策を解説してきましたが、ひとくくりに不動産といっても、各不動産の状態やご家庭の事業はさまざまです。前述した対策以外にも、状況によっては有効に活用できる手法は多々あります。

 

次回からは、手法をいくつかご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

本連載は、2014年3月20日刊行の書籍『家族と会社を守る「不動産」「自社株」の相続対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

貝原 富美子

税理士法人さくら会計 所長

1970年に事務所を設立し、大阪・京都・兵庫を中心に活動。豊富な税務知識と遺産分割・事業承継等の専門知識をもとに、顧客の資産を総合的に分析し、それぞれに適した資産分割・活用の提案を行っている。

著者紹介

連載家族と会社を守る「不動産」の正しい節税法と残し方

家族と会社を守る「不動産」「自社株」の相続対策

家族と会社を守る「不動産」「自社株」の相続対策

貝原 富美子・澤田 美智

幻冬舎メディアコンサルティング

相続において、トラブルになりやすい二大財産である「不動産」と「自社株」。 税理士として長年、不動産・自社株の相続を専門的に解決してきた著者だからこそいえる、実際にあった事例を交えわかりやすく解決策を提示します。 …

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