事業承継計画の策定を機に「株式の含み損」をすべて吐き出す

時価が大きく下がっている株式は、「売ったら損をする」ということで、含み損を抱えたままになっているケースも少なくありません。事業承継計画の策定を機に「売却」という決断をすることで、自社株式の株価引き下げに役立てましょう。

時価より簿価が高い資産はきっちり整理

バブル期に購入した株やゴルフ会員権などを、その後の大幅な下落で手放すことができず、今なお塩漬けになっているケースもあるでしょう。このような資産は、実際の時価はかなり下がっているにもかかわらず、帳簿上の価格(簿価)は高くなったままであるため、結果として自社株式の株価を押し上げる一因となっています。

 

なぜなら類似業種比準価額方式の計算式にある「純資産」は、簿価純資産価額を使用するため、バブル期に購入した価格が、そのまま計算のなかに組み込まれてしまうからです。
売却することが自社株式の株価引き下げに役立ちます。

子会社を合併して資産を圧縮できる

純資産価額方式で計算した場合においても、含み損を吐き出すことは、株価引き下げの効果があります。こちらのほうは、「相続税評価額」によって決められるため、含み損は原則として考慮されています。
 
例えば、債務超過に陥っている子会社がある場合、合併という方法を使えば含み損を吐き出すことができ、親会社の株価引き下げにつながります。
 
まず合併前のイメージで、A社は4000万円の債務超過となっているB社の親会社です。そのままでは、B社の債務超過分はA社の株価評価に反映されず、むしろ保有するB社株式3000万円が資産としてB/S上に組み込まれています。しかし、このB社を合併することで、B社の株価はゼロとなり、資産が圧縮できるのです。
 
合併後は、新A社となり、A社が保有していたB社株式は合併によって消却されて、ゼロとなります。また、B社の債務超過分4000万円(諸資産2000万円と諸負債6000万円)を新A社が引き継ぎますので、B社株式と合わせて7000万円の純資産が減少したことになります。
 
つまり、A社が1億1000万円の資産であったのに対して、子会社B社を合併、新A社となったことで、資産は1億円となったわけです。

本連載は、2012年12月19日刊行の書籍『オーナー社長のための税金ゼロの事業承継』から抜粋したものです。2015年1月1日施行の税制改正は反映されておりませんので、ご留意ください。

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連載オーナー社長のための税金ゼロの事業承継

GTAC(ジータック)とは、株式会社幻冬舎総合財産コンサルティング(GENTOSHA TOTAL ASSET CONSULTING Inc.)の略称。出版社グループの強みを生かした最先端の情報収集力と発信力で、「中立」「斬新」なサービスを相続・事業承継対策からM&A、国内外の不動産活用といった手法を駆使し、顧客の財産を「防衛」「承継」「移転」するための総合的なコンサルティングを行う。編著・共著に『相続税をゼロにする生命保険活用術』『究極の海外不動産投資』『法人保険で実現する究極の税金対策』『スゴい「減価償却」』(いずれも幻冬舎メディアコンサルティング)など。GTAC公式サイトhttp://gentosha-tac.com/(写真は代表取締役の山下征孝)

著者紹介

オーナー社長のための 税金ゼロの事業承継

オーナー社長のための 税金ゼロの事業承継

編著 GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

事業承継の成功は自社株式を制することにあり ムダな税金を払わずに後継者に事業を譲り渡す。その秘訣は自社の株価を極限まで引き下げることにあった。「一年分のオフィス賃料は一気に払う」「高収益部門を分社化して本体の利…

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