不動産の中には「借地権付き不動産」という種類があります。借地付き不動産はそう多くはないのですが、通常の不動産とはルールが異なります。そのため、売買するときや相続・贈与するときには注意が必要です。そこで本記事では、借地権付き不動産の売買や相続に関する注意点を解説してきます。特に、借地権付き不動産を購入するときは、これらの点をよく理解した上で購入するようにしましょう。

売買・譲渡時、契約書記載の「承諾料」を支払う

【借地権を売買・譲渡するときの注意点】

 

借地権を売買・譲渡する場合の注意点を解説していきます。こちらは、前回に付随する箇所がありますので、旧法借地権と定期借地権の2つの観点から解説していきます(関連記事『相続税の節税に?借地権付き不動産のメリットとデメリット』参照)。

 

・旧法借地権の注意点

 

旧法借地権の売買・譲渡時は以下の点に注意が必要です。

 

●承諾料が発生する

●買い手のローンが下りにくい

 

上記2点が旧法借地権の売買・譲渡時に注意すべき点でしょう。承諾料は事前に決まっており、借地権の契約書に記載しています。また、売買だけでなく賃貸時も、お金が発生するケースもあるので、その点も要注意です。

 

「買い手のローンが下りにくい」という点は、買い手が金融機関を探す手間がかかるという点と、買い手に「資産価値が低いと思われる」という2つのデメリットがあります。そのため、旧法借地権をきちんと買い手に説明できる不動産業者に仲介してもらわないと、売却しにくくなってしまいます。

 

・定期借地権の注意点

 

一方、定期借地権の売買・譲渡時の注意点は、さらに買い手のローンが下りにくいという点になります。こちらも前回の「定期借地権のデメリット」で解説した事項ですが、つけ加えると定期借地権の説明を正確にできる不動産業者は少ないということです。

 

その点は、旧法借地権よりも更に少なくなります。なぜなら、定期借地権自体が比較的新しい制度ですし、定期借地権のマンションの絶対数は所有権のマンションに比べて、極めて少ないからです。

 

そのため、旧法借地権よりも更に、「不動産業者選び」は慎重に行いましょう。できれば、そのマンションの分譲主が理想です。分譲主なら、そのマンションを売却したときのパンフレットなどを基に売却活動ができるからです。仮に、分譲主でなくても定期借地権の売却経験があるかどうかは確認しておくと良いでしょう。

相続時には「地主への承諾料」は不要だが…

【借地権を相続・贈与するときの注意点】

 

次に、借地権の相続・贈与のときの話です。借地権も立派な財産なので、その権利を相続・譲渡することが可能です。相続・贈与の場合も、旧法借地権と定期借地権で違う点もあるので、その点に注意しましょう。

 

まず相続から解説すると、相続は譲渡には該当しないので、上述した地主への承諾料などは不要です。しかし、相続が発生すれば相続登記(名義変更)があるので、その際は地主への報告義務はあります。

 

そして、その後に借地権契約を新しい名義人と結びなおす、もしくは書面を差し入れることで成立させる必要があるので、相続時にも手間がかかる点は認識しておきましょう。一方、贈与時は名義書き換え料がかかります。

 

また、一般的な旧法借地権はそのまま期限は自動更新となりますが、定期借地権は自動更新されません。たとえば、借地期間50年で契約していて、20年経過時点で相続が発生すれば、残存期間30年という状態で相続人に引き継がれます。

 

【借地権付き不動産は仕組みを良く知ろう】

 

このように、借地権には少々ややこしいルールがあります。まずは、新法普通借地権なのか旧法普通借地権なのか、もしくは定期借地権なのかを理解しましょう。その上で、それぞれのメリット・デメリットを確認した上で、売買や相続・贈与に臨むと良いです。

 

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本連載は、株式会社フェイスネットワークが運営するウェブサイト「toshi.life」の記事を転載・再編集したものです(https://toshi.life/article/souzokuzeitaisaku/14856)。

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