いよいよラグビーワールドカップが開催される2019年。今後、日本とニュージーランドの関係はさらに深まり、発展していくと思われます。今回は、昨年10月に施行された外国人への販売規制の影響を見据えながら、数字を追って最新のニュージーランド不動産の市場動向を考察します。

NZの不動産業界は年末年始が唯一のホリデー!?

年が明け、2019年となりました。今年はスポーツ界の大きな祭典のひとつ、ラグビーワールドカップが日本で開催されます。新年早々、高校・大学ラグビーの試合が放映されていましたが、日本でも少しずつラグビーというスポーツが浸透し、ブームになりつつあるのではないでしょうか。

 

筆者を含めたニュージーランド在住の日本人は、今年ラグビーを通じ、ニュージーランドが日本の方々から注目されるであろうことに胸を膨らませています。スポーツを通じて両国の距離がより近くなることを期待して、うれしく思っているのです。

 

新年が始まってまだ2週間足らず。お正月には親族が集まり、にぎやかに過ごしたご家庭も多いことでしょう。資産をお持ちの方々にはぜひ覚えておいていただきたいのですが、このような機会は将来の相続等の相談をする格好のチャンスです。日頃はなかなか腰を据えて話しづらいこの手の話ですが、家族・親族が顔をそろえたタイミングで、ざっくばらんにお話しすることをお勧めいたします。

 

とはいえ、この記事が掲載されるころには、日本はとっくに「通常モード」に戻り、みなさんお仕事をなさっていると思いますが、対してここニュージーランドの不動産業界はまだ「ホリデーモード」です。しかし、社会活動全体が止まっているわけではありません。

 

ニュージーランドの不動産業界は、年末年始が唯一完全に仕事を休める時期となっています。1月中旬から月末にかけて徐々に復帰、2月より本格営業を始めるという企業が多くを占めます。気温の温度差もありますが、仕事への行動の温度差がここでも表れているようです。

市場に影響したのは、法改正より地価評価額の内容か

下記の図表1は昨年度12月のニュージーランド各地における物件売却価格です。全国的に見て、わずかながら上昇していることが伺えます。我々が拠点を置くオークランド県の数値は、対前月比0.5%上昇、ワイカト地方も0.4%上昇というデータが出ています。

 

[図表1]2018年12月のニュージーランド全国の売却価格

 

続いて下記の図表2は、過去5年間の12月の国内平均販売額を表したものです。ご覧いただくと分かるように、毎年前年度を上回る価格を記録しています。特に2016年度は対前年比16.8%、二桁台の大幅な上昇となっています。しかし今年は、2%を切る流れとなっています。

 

[図表2]過去5年間の12月のニュージーランド国内平均販売額と前年比

 

昨年10月に可決された、外国人による中古物件の購入を原則禁止する法律が大きく影響するかと思われましたが、実際にはそれほどではなく、危惧していたような状況にはなりませんでした。

 

しかしながら、この法律の可決が広く報道されるとともに高い関心を集めたことで「価格下落は避けられないだろう」「オークションでの競り合いでは国内のみの争いになるため、結局のところ高くならないだろう」とのマインドが広がり、かなり多くの方が不動産投資に挑んだようです。実際には、競り合いによって価格が上昇する物件も多々見受けられました。

 

この現象に関しては、前述の法律の影響というよりも、2017年11月に市役所から出された評価額が、前回より50~60%上昇したことが原因に挙げられるでしょう。この数値に実際のマーケット価格が追いついていないという影響があったのではと思われます。

 

しかし、今年から来年にかけては、市役所が算出した評価額に近づき、そしてそれを越えていく数値が期待できる時期ではないかと考えます。それによって投資家は、ある程度の安定を得た上で、投資に注力することができるでしょう。

 

一般的に、ニュージーランドの不動産売買の繁忙期は夏だといわれていますが、しかし、1月末から2月、3月といった時期も、実際には大変な繁忙期となっています。昨年度末、購入できなかった投資家たちの購買意欲に期待し、業界各社が火花を散らすのです。

 

ここ最近では、一般住宅新築建設の増加、リタイヤメントハウス開発建設といった居住物件に加え、郊外のビジネスパークといった商業用物件建設も活発化を見せています。

 

ますます都市部の拡張を続けていくニュージーランド。まだ開発発展国としての可能性を大きく残しています。スポーツという視点から見ても、日本とニュージーランドは決して遠い関係ではなく、より両国の交流は盛んになっていくでしょう。筆者は不動産というチャンネルを通して、両国に新たな道を作っていきたいと考えています。

 

 

一色良子

Goo Property NZ Ltd. 代表取締役社長

 

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