「損金(経費)を増やせば節税できる」と考えがちですが、無駄な損金を出し続けていれば、会社は大きくなりません。本連載は、『小さな会社が本当に使える節税の本』(自由国民社)から一部抜粋し、資本金1億円以下、従業員数50人以下の小さな会社を経営する社長のための、合理的でリスクの少ない節税法を紹介します。第1回目のテーマは「小さな会社の節税策で、まず見直したい5つの項目」。

「経費上増し」や「期ズレ」が節税とは言えない理由

損金を増やせば利益が減ります。税金は利益にかかるものなので、利益が減れば、その分、支払う税金も減り、一見、節税できたような気になります。しかし、「不要なモノを買う」という行為は、本当に税を節約しているのでしょうか。もちろん、経費が増えているので、当期の税金は少なくなります。ですが、必要な経費を入れただけなので、その経費を含めた利益がその年度の適正な利益だと考えると、これに対して税金がかかることは至極当たり前のことです。

 

つまり、必要なものを購入したことで税金が少なくなったのではなく、その結果としての利益に対して、通常どおりの税金が課せられただけです。したがって、この行為は税を節約しているとはいえません。

 

次に考えられるのは、「翌期以降の費用を先取りして当期の費用に入れる」というものです。これを「期ズレ」といいます。

 

たとえば、翌期首に100万円使う予定があるのであれば、それを当期末に使ってしまえば当期の利益を100万円減らすことができます。これは一瞬もっともな節税と思われるかもしれません。ですが、当期の費用が100万円増える代わりに、翌期の費用は100万円減ることになるので、当期の税金は少なくなりますが、翌期の税金は増えることになります。つまり、当期と翌期の2年間合計では納税額は変わらないことになります。

小さな会社が押さえるべき「本当に節税できる」5項目

それでは、当期の税金を少なくし、かつ将来的にも取り戻されない「本当に節税できる」項目にはどういったものがあるのでしょうか。代表的なものでは、次のようなものが挙げられます。

 

❶青色申告
❷旅費規程の策定
❸社宅規程の策定
❹各種税額控除
❺消費税の簡易課税



細かい解説は以降で説明しますが、これらについてはできる限り取り入れたい節税策となります。事業者によってはすべてを取り入れることができないケースも考えられますが、数が少ないのでできるものはすべて取り入れておくことをおすすめします。これらだけでも数百万円単位で節税できることもあります。期ズレと違い、取り戻されることもありません。

法人税だけでなく、所得税、消費税も俯瞰して考慮を

また、一言に節税といっても、それが法人税なのか所得税なのか、はたまた消費税なのかによって手法が異なります。見落としがちなものでいうと、印紙税などは文書によって税額が異なってくることがあるので、書き方をひと工夫するだけで節税できるケースもあります。

 

法人税だけでも所得税だけでも消費税だけでも片落ちになってしまうので、あらゆる税目に着目する必要があります。たとえば、消費税が少なくなったことで法人税・所得税が増えるというケースもあります。もっといえば、法人の価値を高めたことによって、相続税が上がってしまうというケースも考えられます。

 

すべての税目はリンクしているので、「木を見て森を見ず」といった状況になってしまわないよう、各種税金のつながりを少しずつ理解していきましょう。

 

青色申告はほとんどの方が利用していると思いますが、規程については作っていない法人が驚くほど多いです。専門家に相談してなるべく早く策定したほうがよいでしょう。また、税額控除については、まずは制度を知ることから始めないといけないので、取りこぼしがないよう、これについても専門家に相談することをおすすめします。

 

消費税については、そもそも免税の期間を長くすることが一番の節税ですが、法人設立初期にしか使えないので、該当する会社は少ないでしょう。簡易課税も、課税売上高が5000万円までという縛りがあるので、業種によってはまったく該当しない場合もあります。該当するならどちらが有利かを判定する程度の認識でよいでしょう。

 

 

冨田 健太郎

税理士

 


葛西 安寿

税理士

本連載は、2018年6月15日刊行の書籍『小さな会社が本当に使える節税の本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

小さな会社が本当に使える節税の本

小さな会社が本当に使える節税の本

冨田 健太郎,葛西 安寿

自由国民社

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