遺言書で「子供の認知」「相続廃除」をする方法

遺言書の活用で、生前に認知できなかった子供に財産を残すことや、財産をあげたくない子供に財産を継がせないことも可能です。今回は、そうした遺言書の書き方について見ていきます。

遺言書で子供を認知する場合の文例とは?

遺言書では、子供を認知することもできます。生前には事情があって認知できなかったような子供に相続権や遺留分の権利を与えたいのであれば、遺言書で認知する必要があります。以下に挙げた例のように、同じ遺言書の中で、相続させる財産を指定することも可能です。

 

【例文】
遺言者姫矢正太郎は、本遺言書により次の通り遺言する。
1.次の者は遺言者姫矢正太郎と紅谷乙美との間に生まれた子であることを認知する。
本籍 東京都大田区右京一丁目11番1号
筆頭者 紅谷乙美
氏名 紅谷乙音
2.遺言者が認知した紅谷乙音に、次の財産を相続させる。(省略)
3.遺言執行者として、守谷光正(職業、氏名、住所、生年月日記載)を指定する。
平成○○年○○月○○日
住所 東京都大田区南大路御池二丁目22番2号
遺言者 姫矢正太郎(印)

財産を継がせたくない場合には「相続廃除」も可能

人によっては、財産を渡したくない相手の中に、実の子供が含まれているようなこともあ
ります。例えば、品行が悪く大金を手にしたら瞬く間に散財してしまいそうな息子、いわゆる放蕩息子などは、その最たる例といえます。そのような子供に対して自分の財産を継がせたくないのであれば、生前に相続廃除を行うことが考えられます。

 

相続廃除とは、相続人となるのにふさわしくないと考えられる一定の条件(廃除事由)を備えた者について相続権を失わせることです。

 

廃除事由としては、以下のようなものが挙げられます。


●被相続人に対して日常的に暴行を繰り返していた場合
●被相続人に対して重大な侮辱を加えていた場合
●著しい非行がある場合
●浪費をし、配偶者や子供を捨てて失踪した場合

 

相続廃除の手続きは家庭裁判所に請求して行います。もっとも、自分の生前に行うことがためらわれるような事情がある場合には、遺言書で死後に行うこともできます。その場合には、次の例文に示したように、そこで指定した遺言執行者が家庭裁判所に相続廃除の請求を行うことになります。

 

【例文】
1.遺言者は、次男陸出茂廼哉を次の理由から、相続人から廃除する。陸出茂廼哉は、たびたび遺言者に暴力を振るい、暴言をはいてきた。ギャンブルでできた借金の返済を長年にわたり肩代わりしてきたが、返済の意思や反省の態度はなかった。
2.本遺言の遺言執行者として、次の者を指定する。(省略)
 

なお、相続廃除をしても、その子供が代襲相続をする権利は失われません。ですので、「子供には継がせたくないが、孫(廃除した子供の子供)には相続させたい」というような場合でも、安心して相続廃除の遺言書を作成することができるでしょう。

本連載は、2014年3月20日刊行の書籍『相続争いは遺言書で防ぎなさい』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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連載相続争いを防ぐための「遺言書」のつくり方

大坪正典税理士事務所 所長 税理士

神奈川県横浜市出身。相続、事業承継、都市開発、企業再生支援業務などを中心に携わる。他士業とのコラボレーションによるワンストップサービスを提供。著書に『もめない相続ABC』(共著、日本相続新聞社)、『はじめての相続・贈与』(共著、明日香出版社)などがある。

著者紹介

相続争いは遺言書で防ぎなさい

相続争いは遺言書で防ぎなさい

大坪 正典

幻冬舎メディアコンサルティング

相続をきっかけに家族がバラバラになり、互いに憎しみ合い、ののしり合う――。 故人が遺言書を用意していない、あるいはその内容が不十分であったために、相続に関するトラブルが起こってしまうケースは数多く存在しています…

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