M&A交渉で提示する、さまざまな希望条件のなかでも、もっとも重要なものの一つは、言うまでもなく価格です。果たして自分の会社はいくらと評価されるかは、オーナー社長にすれば、最大の関心事といえるでしょう。今回は会社の価格を算出するための、基本的な考え方をお伝えします。

企業価値の算出方法

自分の会社の価値がどのように評価され、売買価格はいくらになるのか、というのはオーナー社長ならもっともきになるところです。中小企業のM&Aでは、主に以下の評価方法が用いられます。

 

①時価純資産+のれん代
②DCF(ディスカウント・キャッシュフロー)法
③類似比準方式

 

なかでも代表的なのが「時価純資産+のれん代」という評価方法です。この場合の時価純資産とは、時価評価した資産から負債を引いた額のことです。

 

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不動産、在庫品などを実勢価格で評価

時価純資産では、かつて購入した不動産が大きく値下がりしている場合でも、実勢価格に合わせて、実際の価値を評価し直します。今やタダ同然の電話加入権なども同様です。このようにして資産額を“時価”でカウントし、そこから負債を差し引いたものが時価の純資産額になります。 
 
このように見ていくと、純資産はゼロやマイナスになることもあります。そのような場合でも、前回述べたように、資産が少ないというマイナスを補うだけの安定した利益を生むビジネスモデルや、その企業がもつ独自の価値があれば、買い手の興味を引くことは十分に可能です。

のれん代は毎年の利益をベースに決まる

時価純資産にのれん代を加えたものが代表的な算出方法であると先述しましたが、のれん代とは基本的に、毎年の営業利益や経常利益をベースにして決める金額です。 
 
しかしその算出は単純なものではなく、例えば単年度の利益が1億円であっても、その5年分として、5億円がのれん代になることもあれば、2年分として2億円と評価されることもあります。 
 
またM&Aでは、利益が出ていない赤字の会社(つまり、本来であればのれん代が期待できないケース)でも売買の対象になることがあります。それは例えば東京都と千葉県で事業を行う会社が、新たに埼玉県に製造や販売の拠点を設けようといったケースなどが考えられます。


利益は出ていないものの、その会社が埼玉に有する不動産や営業権に価値が見出されれば、それがのれん代として反映されて、M&Aが成立することになります。

 

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本連載は、2013年7月2日刊行の書籍『オーナー社長のための会社の売り方』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

オーナー社長のための会社の売り方

オーナー社長のための会社の売り方

編著 GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

オーナー社長にとって、会社人生の最後で最大の仕事こそが事業承継。 創業以来、長年に渡って経営してきた会社を次代に残す。また、従業員の雇用を守りつつ、買い手企業の新たな資本の元で、会社の価値をさらに高めていくこと…

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