前回は、中小企業が顧客を獲得するためには「営業マンによる営業活動」が効果的な理由を取り上げました。今回は、なぜ経験値の低い営業マンでも積極的に営業活動をさせるべきなのかを見ていきます。

コンスタントな「1日300件訪問」で受注が安定

前回の続きです。

 

私のリフォーム業界のスタートですが、入社当日、営業のやり方もリフォームのことも、わからない状況で、先輩の車で担当エリアに連れて行かれ、「ここから1軒ずつ玄関のインターフォンを押して、順番に回って行って」と指示されただけでした。

 

先輩の営業について回ってやり方を見せてもらうとか、事前に営業のルールやノウハウを教わるとかといったことは一切ありませんでした。

 

たとえば、壁に入っているヒビのことを建築用語で「クラック」というのですが、そんな基本的な用語さえも恥ずかしながらお客様から教わったくらいです。

 

自分が何の武器も持っていないことは自覚していましたから、買う気のない人を営業力でその気にさせることなど不可能だと思っていました。

 

何もない私は、すでにリフォームを考えている顕在化したお客様を一軒でも多く回って探すしかなく、面接のときに聞いた「一日300軒回れば売れる」を信じ自分のノルマにしていました。

 

50軒目でアポイントが取れても、契約が1日に2件取れた日でも必ず300軒の訪問を果たしました。商談して契約になればその時間だけでも約2時間を要します。

 

契約を取れたことは物凄く嬉しいのですが、自分に課しているノルマである300軒をクリアすることを考えれば当然、大幅な残業が必要になります。それでも自分で決めたノルマは必ず実行しました。

 

営業には契約が取れる日も取れない日もあり結果だけ見ると波がありますが、そうやってコンスタントに300軒訪問を積み重ねていくと、〝大きく外す〞ことがなくなります。受注が安定していき、1カ月後には何の経験もなかった私でも受注ノルマを上回る成績を残すことができていました。

 

技術や知識、経験がなくても、買ってくれる人を探す努力をすれば、契約が取れることを経験できました。

「ノルマを達成した後に手を抜く」のはNG

周りを見渡してみると、たいていの営業マンは、契約が取れればそこで手を抜いたり気持ちを緩めたり、ひと月のノルマに見通しが立つと目の前の仕事が甘くなり結果的にそのツケが翌月に回ってきたりしていました。

 

私も手を抜きたい気持ちにはなります。でも一度甘えを許してしまうとずるずるとさぼってしまいそうで怖かったので、300軒訪問というノルマを続けられました。そうして『うさぎと亀』の童話のようにライバルに大きな差をつけることができたのです。

 

この方法で、私は入社して数カ月で先輩たちを凌ぐ成績を上げ、以降も常に支店でトップの成績を出し続けることができました。

 

しかしこの時点では、たくさんの給与を貰えているにもかかわらず、一生やる仕事であるとは思えませんでした。

 

私は、月が替われば〝ゼロからのスタート〞でノルマを達成しなくてはならないプレッシャーのくり返しを何十年も続けていくことを想像できなかったのです。このときの気持ちが今の仕組みづくりの原型になっているといっても過言ではありません。

見込みゼロ客を ヘビーリピーターに変える スゴい営業の仕組み

見込みゼロ客を ヘビーリピーターに変える スゴい営業の仕組み

武蔵原 一人

幻冬舎メディアコンサルティング

「受注が取れない」「売上も伸びない」「営業マンは辞めていくばかり」――負のサイクルを断ち切り、激化する顧客争奪戦を勝ち抜くカギとなる「見込みのない顧客をリピーターに変える仕組み」づくりを3ステップで徹底解説しま…

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