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連載大増税時代に大損しない「不動産を活用した相続税対策」【第3回】

節税狙いの賃貸不動産選びで意識したい5つのポイント

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節税狙いの賃貸不動産選びで意識したい5つのポイント

前回は、不動産を活用した節税の仕組みについて紹介しました。今回は、物件選びで失敗しないための「5つのポイント」について見ていきます。

物件をしっかり選定しなければ節税効果は期待できない

前回までは、誰もが知っているような節税の構造ですので、今回からが本題です。賃貸不動産を所有するメリットをわかっていただけたとしても、心配事があるはずです。

 

「借入をして賃貸不動産を所有した場合、その借入は返済できるのか」

「空室が続いてしまうようなことがあると、借入金を返済できないのではないか」

「自分の懐から返済しなければいけなくなったら、自分の生活を圧迫することになるのではないか」

 

などなどです。だからこそ、そういったことがないような物件を選定するのです。つまり、この相続税対策は物件を見る目がなければできません。賃貸不動産が節税になると知っていても、ここがおざなりであれば成果は出ないからです。

 

私の場合、物件選定に次の5つのポイントを設けて考えています。

 

ポイント① 建築費用もしくは購入価額と相続税評価額が乖離していること

建物であれば建築費用もしくは購入価額と固定資産税評価額の乖離が大きければ大きいほどいいですし、土地であれば購入価額と路線価評価などによる相続税評価額との乖離が大きいほどいいということです。

 

6000万円で建築したものが、5000万円の相続税評価額になったとしても、あまり効果は出ません。そうであれば、前例でもお伝えしたように、1億円で建築した賃貸用建物が4900万円と半額以下の評価額になるほうが、その効果は高いのです。

 

ポイント② 事務所用よりも居住用

事務所用の建物になると、店子が入るかどうかは景気に左右されやすいものですが、居住用であればそうでもありません。人はどこかに住まなければならないためです。また、事務所用となると面積も広くなり、1つの店子による収入が大きい傾向にあるため、入るか入らないかで収益に大きな隔たりが生まれます。

 

一度店子が退去してしまうと、次が見つかりにくいのもデメリットです。私の知っている事務所用不動産でも、ワンフロアがずっと空室のまま、というところはよくあります。

 

ポイント③ ファミリーよりも単身者向け

これも事務所用と同じく広さと価格が問題となります。ファミリー向けとなると2LDKや3LDKといったものが主流になってきますが、当然家賃が高く設定されます。

 

入居者がいるときといないときの差が激しくなるので、単身者もしくは若い夫婦向けにしたほうがリスクは少ないのです。日本の少子化の状況を考えても、そのほうがいいと考えられます。

 

ポイント④ 部屋は広くて少数よりも、狭くて多数

たとえば、月々の家賃が100万円の賃貸不動産があったとして、1部屋50万円の部屋が2戸の場合と1部屋10万円の部屋が10戸の場合とで考えると、リスクが小さいのは明らかに後者です。

 

ポイント⑤ 新築ではなく中古

新築物件のほうが見栄えもよく最新設備が採用されており、人気があるので物件としての価値が高いと思われますが、相続税対策で求められているのは、新築時の人気と価値の高さではありません。

 

相続税対策で求められている物件は、むこう10年単位で安定した収益を計算できる物件です。

 

新築物件では、最初こそ入居者が集まりやすいかもしれませんが、それは実際に入居者を募集してからでないとわかりません。事前の調査で満室になる確信が得られていればいいかもしれませんが、数年経てばどうなるかはわかりません。どうしてもギャンブル性がつきまといます。

 

そういったことを考慮すると、すでにある程度の結果がわかっている中古物件のほうがより安全といえます。

 

中古物件であれば、近年の部屋の稼働状況がわかっているので、どの程度の家賃が毎月入るか計算が立ちやすいのです。建築して5〜10年くらいの築浅の物件であれば、急に人気がなくなるということは考えにくいですし、不動産管理会社には、過去の家賃収入の記録もとられていますので、そういったものが判断材料の1つにできます。

タワーマンションは収益面でも大きなリスクがある!?

物件の選定では、タワーマンションの高層階をお勧めするような話もよく聞かれると思います。確かに、ポイント①のところでお話しした購入価額と相続税評価額の乖離があてはまる物件です。

 

タワーマンションでは低層階と高層階で面積が変わらなければ相続税評価額は同じですが、一般的に人気があるのは高層階ですし、断然そちらのほうが購入価額は高額ですので、選ぶべきは高層階ということになります。

 

しかしタワーマンションは富裕層向けですので、部屋が広くて大きい傾向にあります。つまり、ファミリー向けであったり、1戸の価格が高かったりするので、ポイント③とポイント④に抵触します。

 

タワーマンションの高層階といえば、瀟洒で華やかなイメージがあり、所有することでの満足感も大きいとは思いますが、その後の収益のことを考えればリスクがあるのです。

 

以上のように5つのポイントを踏まえて物件を選定できなければ、相続税という見えざる借金は減っても、もともとの財産自体が蝕まれてしまいますし、後々借入だけが残った不良物件として煩わしい存在になってしまいます。

本連載は、2013年11月27日刊行の書籍『大増税時代に大損しない相続税対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

北村 英寿

北村税理士事務所 代表
税理士(東京税理士会麻布支部所属)
TKC全国会資産税対策研究会 会員 

1971年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学卒業後は東京都港区の藤浪会計事務所に所属、資産税を中心としたコンサルティング業務に従事。六本木ヒルズや白金プラチナタワーなどの再開発案件にも携わる。2005年より早稲田大学大学院会計研究科にて租税法の大家である品川芳宣教授に師事。2007年、北村税理士事務所を開設。現在は相続税対策・申告や、顧問税理士業務を中心に行う。

著者紹介

連載大増税時代に大損しない「不動産を活用した相続税対策」

大増税時代に大損しない相続税対策

大増税時代に大損しない相続税対策

北村 英寿

幻冬舎メディアコンサルティング

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