今回は、回収不能となった売掛金を「貸倒損失」として処理する方法を見ていきます。※本連載は、会計事務所・経営者向けセミナー講演を年50回以上行い、相続・贈与に取り組む専門家ネットワーク発足などの活動にも携わる株式会社アックスコンサルティング代表取締役・広瀬元義氏が執筆・監修した『会社と家族を守る!事業の引継ぎ方と資産の残し方ポイント46』(あさ出版)の中から一部を抜粋し、オーナー社長が知っておくべき「自社株承継」の9つのポイントを解説します。

回収できない売掛金は「貸倒損失」として処理

前回の続きです。

 

Point 資産整理策④ 債権の整理

 

業績悪化などを理由に、いつまでも売掛金を支払ってもらえず、長期間、未回収の売掛金になっているものはないでしょうか?

 

1年間ならともかく、1年以上経つのであれば、回収はかなり厳しくなっていると考えられますから、こういった売掛金などの債権は、事業承継の際に、決着をつけることを決意してはどうでしょうか。

 

なぜなら、回収できない債権も、資産に計上され、結果として純資産増加の原因となっているからです。

 

将来何の役にも立たない資産が、自社株評価を引き上げているとしたら、これ程馬鹿らしいことはありません。

 

このような売掛金回収に関しては、事業承継対策というよりも、日常からルールを決めてしっかりと回収していくことです。そのうえで、回収できない売掛金は所定の手続きを経て貸倒損失として処理していくことが大事です。

貸倒損失とするために必要な「3つの要件」とは?

貸倒損失として落とすには、次のような要件がありますので、確認しておきましょう。

 

①法律上切捨てられた場合

会社更生法や民事再生法の手続きにより債権が切捨てられた場合です。また、相手先が長期間債務超過の状態が続いており、返済を受けられない場合には、書面により債権放棄をすることによって、貸倒損失として落とすことができます。

 

②全額回収不能の場合

相手先の資産状態や支払能力からみて、全額回収することが不可能であることが明らかになった場合には、その年度で貸倒処理することにより落とすことができます。

 

③取引停止から1年以上支払いがない場合

継続的な取引先について、支払能力等の悪化により取引停止をしてから、1年以上支払いがない場合は、貸倒損失として落とすことができます。

 

以上のような状態になったときは、速やかに処理をしておくことが大事です。

本連載は、2017年2月26日刊行の書籍『会社と家族を守る!事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46』から抜粋したものです(2017年6月7日第2版)。最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

会社と家族を守る! 事業の引継ぎ方と資産の残し方 ポイント46

会社と家族を守る! 事業の引継ぎ方と資産の残し方 ポイント46

広瀬 元義

株式会社あさ出版

誰に会社を任せるべきか、何から手をつけるべきか? 事業承継のプロたちが教える基本から具体策まで!

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