今回は、売却しやすい会社と、売却しにくい会社の違いを解説します。※本連載では、事業承継の選択肢のひとつとして、M&Aの基礎知識を紹介します。

「売りやすい会社」=買い手のニーズが高い

良い買い手と巡り合い、その相手と互いのニーズが一致さえすれば、売れない会社はありません。しかし、現状では売りやすい会社と売りにくい会社があることは事実です。今回は売りやすい会社と売りにくい会社の見分け方を紹介します。

 

売りやすい会社の6つの特徴

 

売りやすい会社とは買い手のニーズが高いということと同義です。

 

1.人手が足りていない業界

最近の買い手のニーズとして、人材確保のためのM&Aが進んでおります。IT業ではエンジニアの数、建設業では有資格者の数などに対してのれん代が付く場合があります。

 

2.業界再編が進んでいる業界

調剤薬局や食品卸といった業界は買い手のニーズが非常に高く、売り手の条件面で相応の値段が期待できます。その一方で業界再編がひと段落すると一気に買い手のニーズがなくなる可能性があるので、業界の動向をチェックしておく必要があります。

 

3.規制強化が行われている業界

法規制が引き金となりM&Aが活発化になるケースがあります。規制強化が行われると新規参入が難しくなり、既存の会社を買収することで参入しようとする買い手ニーズが高まります。

 

4.取引先が分散している

売上が大手企業一社からの取引で集中していると、取引中止による急激な経営悪化につながるリスクがあります。リーマンショックなどを経験した不確実性の時代では、取引先を分散し営業基盤を築いている企業の人気が高まっています。

 

5.ビジネスモデルがはっきりしている

一社で複数の業態を持つ企業よりも得意分野一つに事業を絞っている企業の方が断トツで人気があります。

 

6.不要な不動産を持っていない

都心などの一部を除いて、不動産価値は下落が続いております。営業を続けていくうえで必要な不動産は別として、不要な不動産がない方が売りやすい傾向があります。

3期連続の赤字、多額の借入がある会社は売りにくい

売りにくい会社の5つの条件

 

売りにくい会社とは上記で述べた会社の逆となりますが、特に下記の条件をすべて満たしてしまうと売れる可能性が極めて低い会社になってしまいます。

 

●3期連続で営業利益が赤字。または直近の売上が大きく落ち込み、改善の見込みがない

●借入金が多額で、借入金弁済のために新たな借入を繰り返している。

●粉飾決算を繰り返している。また、経理がいい加減で正確な内容がわからない。

●労使紛争、多額の裏保証、賠償金などの簿外負債が存在する。

●業界の縮小しており、買い手先のシナジー効果が見込まれない。

本連載は、株式会社M&Aクラウドのサイト『M&A to Z』(https://media.macloud.jp)から転載したものです。

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