今回は、3年前から準備を進めておきたい、会社をスムーズに売却するためのポイントを紹介します。※本連載では、事業承継の選択肢のひとつとして、M&Aの基礎知識を紹介します。

不要な設備投資など、過度な税金対策は控える

事業承継の準備は最低3年前から。第4回でも述べた通り、M&Aを成功させるためには3年前からの準備するとスムーズです。では、具体的にはどのような準備をしておけばいいのでしょうか? 今回は3年前から準備しておくと売却時スムーズになる基本的な5つのアドバイスを紹介します。

 

1.相談できる先をまず決める

経験したことのないことに対して、一人で悩んでいても仕方がありません。必ず相談できる相手が必要になります。しかし、中小企業の会社売却は秘密裏に行わなければなりません。相談先は必ず秘密を守ってくれる、信頼のおける人を選びましょう。M&Aの専門業者・M&Aを経験したことのある経営者、顧問の税理士・会計士などがオススメです。銀行や取引先、社員に漏れると、融資が止まったり、取引が止まったり、従業員が辞めたり悪影響が多いです。

 

2.粉飾や過度な税金対策はしない

M&Aの交渉が始まると、買い手側からの調査(デューデリジェンス)が入ります。そこで粉飾決算が行われている事実が発覚してしまうと、破談になってしまう可能性が高まります。絶対に粉飾決算はやめましょう。

 

また、たいていの中小企業は役員報酬や接待交際費、不動産、設備投資などで税金対策を行っていると思います。しかし、会社を高く売るためには営業利益を上げることが重要になります。役員報酬や接待交際費に関しては仮に適正な価格だと営業利益はどうなっていたのか(実質営業利益)で会社の評価が決まりますが、税金対策のためだけの不動産購入や設備投資は会社の価値を下げることになるケースがあります。過度な税金対策は控えましょう。

利益重視の経営を行い、3期以上赤字は避ける

3.売上よりも利益重視の経営

会社の値段は売上よりも営業利益で評価されることが多いです。最低でも3期以上赤字が続く経営は避けましょう。営業利益が伸び続けていれば、成長性がある会社ということで、成長性を加味した企業価値がつくことがあります。その場合、経営陣は売却後も経営に携わって欲しいということになりやすいのですが、逆の場合買い手によっては売却後経営陣を外すことを促してくる場合もあります。

 

4.業界の動向に注意を払う

同業や周辺企業がM&Aの買い手になるのが一番多いケースです。同業や周辺企業のM&Aニュースなどを調べることにより、買収ニーズが高い時に会社売却することを心がけましょう。具体的には、新聞や経済誌の特集を見て同業他社の買収や新規上場、株価などを見ると自社の業界の期待値が見えてきます。

 

5.必要な資料を準備しておく

第3回で述べた通り、月次決算や予実管理、原価計算をしっかりやっている会社は、売却までスムーズです。細かい資料に関しては経営者とはいえ、どこにあるのかわからないということも珍しくありません。そのような資料をバタバタ集め始めると社員から不審がられることがあります。クラウド会計ソフトを導入するなどをして、いつでも決算書や試算表を出せるようにしておくのも対策の一つです。早めの準備を心がけましょう。

本連載は、株式会社M&Aクラウドのサイト『M&A to Z』(https://media.macloud.jp)から転載したものです。

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