今回は、家族信託が「目的に応じた家族の財布」だといえる理由を見ていきます。※本連載では、司法書士みそら総合事務所代表・酒井俊行氏の著書、『わかりやすい家族への信託』(すばる舎)から一部を抜粋し、認知症の財務管理対策と相続対策の両方に効果を発揮する「家族信託」の基礎知識をレクチャーします。

「誰のために・どんな目的で」信託をするのかを決める

いくら財産の管理処分を託されたと言っても、託された人(受託者)が自由に財産を使っていいわけではありません。

 

新しく作った家族の財布の中身は、あらかじめ決められた目的に応じて使う必要があります。

 

家族信託を始める際には、誰に財産の管理処分を託すのかを決めておくのはもちろんですが、「誰のため」に、「どんな目的」で信託をするのかを決めておかなければなりません。(図表参照)

 

[図表]家族信託の仕組み

家族用の財布を別に用意し、家族みんなで財産を管理

例えば、もともとの財産の名義人である父を「委託者であり受益者」とし、父の生活を守るために、長男を受託者として家族信託をした場合、長男は「父の安定した生活を支援し、父の福祉を確保することを目的に財産を管理処分する」と決めておく必要があります。

 

父が亡くなった場合、これを「母のために」とすることも可能です。この場合、当初の受益者を父、次の受益者を母と定めておけば、そのまま母のために信託財産を使うことができます。

 

家族信託を利用すれば、あらかじめ決められた目的に応じて家族の財布の中身(信託財産)を使うことができるのです。

 

次の受益者である母が亡くなった場合は信託を終了させて、残った財産を長男や次男に承継させるということも、あらかじめ決めておけます。

 

このように、家族信託は「家族の幸せ」という目的のために、家族用の財布を別に用意し、家族みんなで協力して財産を管理していくことを可能にしてくれる方法なのです。

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