2018年の不動産マーケット アセットタイプ別の見通し

今回は、2018年の不動産マーケットについて考察します。※ロサンゼルスを本拠とする世界最大の事業用不動産サービス会社のシービーアールイー株式会社(CBRE)。本連載では、そのリサーチ部門が世界の不動産市場の最新情報をお伝えします。

2018年の投資額は、前年にくらべて6%程度減少を予想

2017年通年の投資総額は、前年から3割程度増加する見込み。M&Aを含む大型の取引数が前年から130%以上増加する見込みであることが主因。ただし、ボリュームゾーンである中・小型の売り物件自体は少なく、取引数は累計で前年を約2割下回るだろう。さらに、全体に占める東京23区の投資額割合も2005年調査開始以来最低の4割まで減少しそうだ。


2018年の投資額は、2017年にくらべて6%程度減少すると予想する。ファンドを中心に投資家の意欲は高いものの、価格についてはより慎重になると考えられることが、その理由のひとつ。今ひとつの理由は、地方都市での件数比率が高まると予想されることである。より高い利回りを求め、投資家の地方都市に対する関心は高まっている。しかし、そもそも地方都市では取引金額が東京に比べて小さい。そのため、投資件数が拡大するとしても、投資額全体を押し上げる効果は限定的と考えられる。

東京都心オフィス利回りは上昇の可能性も

プライムアセットの取引利回りの今後の動向は、アセットタイプによって異なると考えられる。


東京都心のオフィスの利回りは、引き続き低位で推移するものの、上昇する可能性もあると考える。2018年の新規供給は20.7万坪と、過去10年間の平均(18万坪)より大きい水準が予定されている。そのため想定成約賃料は2018年に下落に転じる見通しだ。このことが徐々に不動産価格にも反映されてくると考えられる。


銀座ハイストリートのプライムリテールの利回りは低位横ばいで推移するとみられる。銀座ハイストリートの賃料は、2016年以降は下落傾向が続いた。ただし、2017年後半からは、富裕層ならびに訪日外国人による高額品消費が回復傾向にある。さらに実質賃金の上昇も期待されている中、ラグジュアリーブランドの出店意欲が再び高まる可能性がある。投資家ニーズも引き続き高いため、プライムリテールの利回りは低水準で推移しよう。


物流施設(東京ベイエリアの大型物流施設=「LMT」)の利回りはさらに低下する可能性が高い。首都圏全体のLMT市場におけるむこう2年間の新規供給は、2017年Q4時点のストックの約40%に相当すると見込まれている。しかし、プライム立地である東京ベイエリアではLMTの希少性は依然として高く、今後の供給も限定的だ。荷主の需要も堅調で、eコマース拡大を背景に安定した収益が見込めるアセットタイプである。オフィスやリテールとのスプレッドは今後さらに縮小するとみられる。

 

[図表1]不動産投資の実績と見通し

 

[図表2]東京プライムアセットの利回り

出所:CBRE、2017年11月
出所:CBRE、2017年11月

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写真は、リサーチ エグゼクティブディレクターの大久保寛氏。
CBREのリサーチ部門の責任者として、オフィス、物流施設、商業施設の賃貸市場ならびに売買市場のリサーチ業務を統括。製鉄会社および投資銀行勤務を経て1997年から2013年まで証券アナリストとして株式リサーチ業務に従事。2000年からはJREITを中心に不動産セクターを担当。UBS証券、ゴールドマンサックス証券、マッコーリーキャピタル証券、みずほ証券を経て、2013年10月より現職。

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