トップである社長が「現場」に出る目的とは何か?

前回は、ライバルと価格競争をせずに売上を伸ばし、「低成長時代」を生き残っていくための考え方を紹介しました。今回は、トップが「現場」に出るうえで一番大切なことは何か、意識すべきことは何かを見ていきましょう。

一番大切なのは「お客様の期待」をさぐること

よく現場主義とか、トップ自ら現場に出るなどと言われますが、何をするためにトップは現場に出るかについて、少々誤解があるように思います。

 

もちろん、「事件」は会議室で起こっているわけではなく、現場で起こっているわけで、会社の売り上げも、社長室や本社で上がるわけではありませんから、トップ自らが営業第一線で稼いでくることも大事であろうと思います。時には、社員と一緒になって現場で汗を流すことも大事でしょう。

 

しかし、トップが現場に出る目的で一番大切なのは、お客さまの期待をさぐってくることです。

 

私は現在、関与先数社の営業会議に出ていますが、営業マンの方から顧客の声や顧客の不都合がたくさん上がってきます。特に営業部と製造部などがあるような会社においては、だいたい部門間の仲が悪いので、顧客の不都合に対する対処は、社長の一言で決まることが多い。

 

ところが、営業会議などで顧客の不都合などが議題に上がってくればいいのですが、社長の気がつかない現場で、そんなやり取りが毎日のように行われていると考えるべきでしょう。営業部が出すのは「あちら側(お客さま)のニーズ」ですが、製造部が出すのは「こちら側(会社)の都合」です。こういう場合の対処は、営業部と製造部の力関係で決まってしまうことが多い。

トップが現場を知らなければ売り上げは上がらない

私は、大学を卒業して新卒でTKCに入社しました。TKCでは、現場でシステムコンサルティングという仕事に7年ほど従事し、顧客にソフトウエアの販売を行っていました。

 

入社して2〜3年の間は、たびたびシステム開発担当者と電話でケンカをしていました。顧客から、システムの不具合や使用方法などの問い合わせを受け、開発担当者に連絡をとると、「それは、使い方が悪いですね」とか「マニュアル見ました?」とか「それは本来の使い方ではないですね」などと言われて、しまいには「最初からやり直してください」と簡単に言われたのです。

 

こちらは、お客さまと直接お付き合いしている営業マンですから、「お客さまが困っているのだから何とか手はないか」「これはぜひ直してほしい」などと食い下がっていくと、だいたい最後に言われる言葉が、「あなた何年入社?」でした。

 

私はお客さまの困ったという要求を伝えているだけで、何年入社などというのはまったく関係のない話ですが、社内での議論には入社年度、先輩後輩は欠くことができない要素なのです。

 

だから、トップである社長が現場で直接顧客の声なき声を聞き、感じ、社長自らが商品やサービスの改善を部門長や社員に直接指示をしていかなければ、商品やサービスの質はなかなか向上してはいかないのです。

 

名誉のために申し上げておきますが、TKCの開発部門も、ある時点から現場社員に対する態度がガラッと変わりました。トップである社長が、開発部門の思想を「現場支援」と位置づけてからです。素晴らしい会社です。

 

売り上げが上がらない、値下げ要求が多い、これらはすべて社長が現場を知らないからです。社長が顧客の真の期待を知らないからです。

本連載は、2014年2月27日刊行の書籍『低成長時代に業績を伸ばす社長の条件 』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

関根 威

SMC税理士法人 代表社員理事長

1990年明治大学経営学部卒業。同年民間上場企業入社、システムコンサルティングに7年間従事。中小企業に3年間勤務後、税理士法人せきね総合会計事務所(現SMC税理士法人)入社。現在、関与先数社の会計参与(役員)に就任。2007年から経営計画書を中心とした「せきね式未来社長塾」を開催。2012年12月に経営革新等支援機関としての認定を受ける。

著者紹介

連載低成長時代に業績を伸ばす社長の条件

低成長時代に業績を伸ばす社長の条件

低成長時代に業績を伸ばす社長の条件

関根 威

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