投資先としての「フランチャイズ事業」をどう考えるか?

前回は、M&Aの対象としての「債務超過」の会社について考察しました。今回は、投資先として「フランチャイズ事業」をどう考えるかを見ていきます。

市場規模20兆円ともいわれる「フランチャイズ産業」

M&Aの主な目的として「ノウハウ」「時間」を買うことがあげられます。これは、フランチャイズに加盟する目的とも類似します。本部が持つビジネスモデル、ブランドの使用権等をフランチャイズ加盟者が買うことには、M&Aと多くの共通点が見られます。


筆者はフランチャイズ事業とは不思議と縁が深く、これまでM&A仲介、資金調達等で多くの本部と接点を持ってきました。また、一加盟店としても複数本部に加盟した経験を持ちます。残念ながら、目論見が外れ、撤退を余儀なくされた苦い経験もしてきました。


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日本フランチャイズチェーン協会によると、国内の本部数は1,300を超え、直営店、加盟店をあわせた店舗数は26万店を超えています。小規模の本部などは、この数に含まれておらず、実数は更に多いと推測されます。フランチャイズを産業と捉えた場合、市場規模は少なく見積もっても20兆円を超えているという統計も出ています。更に、共同仕入を行う「ボランタリーチェーン」や「のれん分け」制度もフランチャイズの一形態とも言え、サービス業を中心として国内産業の一角を占めるまでに成長しています。


M&Aは事業投資に分類されますが、当然ながら経験やセンスが求められ、誰もが成功できるとは限りません。スポーツであれば、素人とプロの差は歴然ですが、ビジネスにおいてはその差が見えにくいのが現実です。ビジネスでも、スポーツ同様に練習、鍛錬が必要となります。そういった面では、フランチャイズに加盟して経験を積むというのは、ひとつの選択肢として有効です。


3年前に知人の経営者が、知名度はなくとも誠実な本部を見つけ出す研究会を立ち上げました。本部とは、一定の距離を置いた立場の珍しい会です。現職の会社員、中小企業経営者、不動産投資家など約70名の会員がフランチャイズに加盟し、活動を行っています。筆者もその一人です。思い通りにいかないことも多く、もちろん全ての人が成功しているわけではありません。それでも事業投資を行う経験の中で、経営者としてそれぞれが成長しているのを感じることができます。 

フランチャイズ加盟店の譲渡は禁止の例も多いが・・・

残念ながら、不誠実なフランチャイズ本部が存在するのも現実です。一方で、自身の努力不足を棚に上げて、業績低迷は本部の責任だとする加盟店もそれ以上に見受けられます。同じ本部内の加盟店でも優劣がつくのは当然のことです。投資は全て自己責任が原則ですが、事業系の投資は特にその傾向が強まります。

 

赤字の理由を政治や景気のせいにする経営者と同じく、本部のサポート不足ばかりを声高に主張する加盟店が少なからずいるのは残念なことですが、本部にも問題があります。安易に希望者を加盟させてしまうことです。本来、加盟店は大事なビジネスパートナーであり、人材採用以上に慎重になるべきです。加盟金が払えるか、資金力があるかが重要判断基準ではないはずです。


フランチャイズ加盟店の譲渡は契約によって原則禁止されているケースがほとんどですが、現実には本部了承のもと増加しています。そもそも、よい立地などで利益を上げているケースでも、オーナー側の体調不良、本業集中、他事業への転換、資金調達、後継者不在、飽きた等の理由により売却されるケースは多いです。


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また、本部が運営する直営店も譲渡対象になるケースがあります。特にアーリーステージの本部は、資金調達や本部機能強化のために直営店を手放すケースが多々あります。本部としても、成功する加盟店が増えるのは望むところなので利害が一致します。もし、新規加盟を検討しているのであれば、直営店、既存加盟店の譲渡をダメもとで交渉することも選択肢としていれるべきです。


フランチャイズ本部自体の譲渡事例も増えています。整体サロンの「カラダファクトリー」、女性向け体操教室「カーブス」、シュークリームの「ビアードパパ」、回転寿司の「スシロー」等もM&Aにより経営主体が交替しています。これらは大型案件なので公知となっていますが、小規模フランチャイズ本部の譲渡も水面下で増加しています。難易度は上がるので、安易にお勧めできませんが、チャレンジする価値のある分野だと思います。


投資分野における「リスク」は、日常生活で使う「危険」という意味とは少しニュアンスが違い、予測数値、リターンの変動幅「ブレ」のことを表します。不動産や金融商品の投資に比べ、事業投資における「ブレ」は幅が大きいのが現実です。そのブレ幅を予測し、修正する能力に不安があるのであれば、フランチャイズというモデルに参加し、勘所をつかむことは訓練の場として最適です。その際には、身の丈にあった投資額に抑えること、本部を選ぶ際に即決せず慎重に判断することをお勧めします。


それでもリスクの「ブレ」がストレスになる人は、事業投資には向いていないかもしれません。それを楽しむ心の準備ができたら、ぜひ挑戦してみて下さい。事業投資は思い通りにいかないことが多い分、関わる人を成長させてくれます。筆者も事業投資においては、日々是好日とはならず、反省と勉強の連続です。

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株式会社つながりバンク 代表取締役社長
株式会社つながりリンク 代表取締役 

オリックス株式会社1996年~2012年。16年在籍。 在職中に多くの新規Projectに参画し、東京都、銀行、カード会社などに出向。ベンチャー企業から上場企業まで投融資を実行。経営企画部時代(約8年在籍)に、出資先の株主間調整、合弁契約解消、事業撤退・売却、海外子会社統合、債権回収業務など前向きから後ろ向き案件の対応をこなす。2012年、株式会社つながりバンク設立。スモールM&A市場の普及・拡大をメイン事業とし現在に至る。自らも小規模の事業系投資を実践中。

著者紹介

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日時 2018年01月27日(土)
内容

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