南アジアで広がる都市問題解決の切り札「スマートシティ」構想

写真:GTACスタッフ

渋滞や大気汚染は、スリランカをはじめ多くの南アジア諸国が抱える都市問題です。中でも増える人口に対して公共サービスが追いついていないという問題が深刻です。その難題を解決するアプローチとして、「スマートシティ」という考え方が南アジアでも注目を集めています。

インドでも始まったスマートシティ構想

南アジアの他の国も、類似したあるいはスリランカ以上に深刻な「都市問題」に取り組んでいる。既に南アジア人の10人に3人は都市に住んでいて(浮動人口は除く)、国連は、今後数十年のうちにこの人数は大幅に増加すると見込んでいる。例えばインドでは2014年から2050年のうちに、都市に住む人口が更に4億400万人増えると予測されている。

 

この見込みを念頭に、インドは2014年に100の「スマートシティ」を作り出すといった野心的な政策を打ち出した。この方針のもと、対象都市はインフラ改修を目的とした資金が付与される。しかし、モディ首相および彼のテクノクラートたちはスマートシティとは何を意味しているか説明する段階で既に苦戦している。

ICTを基盤にした「まちづくり」とは?

「スマートシティ」とは、居住者のスマートさを指しているわけではなく、都市システムに言及する時の用語だ。実のところ、スマートシティの国際的な定義は存在しないため、公共設備・住宅・交通手段・デザインなど、場合によって対象になるものは様々だ。

 

スマートシティのインフラは、情報通信技術(ICT)がベースとなっている。これらの技術が都市サービスの質やパフォーマンスの向上、あるいはコスト削減や資源節約の土台となり、また、より効率的に市民参加を促す基盤にもなるのだ。

 

自動センサーからデータセンターまで多岐にわたるICTは、複雑な都市システム内に「フィードバックの輪」を生み出すだろう。上手く運用できれば、リアルタイムで飛び交うデータにより、物理環境のデザインと市民サービスの提供というハード面・ソフト面いずれにおいても画期的な改善が望めるだろう。

技術集中型とネットワーク型の2通りのアプローチ

現在のあまりスマートではない(むしろ愚かな)都市がスマートシティへ進化するには2つの選択肢がある。

 

ひとつは、テクノロジー集中型アプローチを採用することだ。センサーがバスや電車から公共のゴミ箱や施設など至るところに設置され、それらによる絶え間ないフィードバックのおかげで、非常に効率的に公共サービスを受けられるようになる。

 

もう一つのアプローチでは、テクノロジーを駆使し市民と政府が今以上に良好な関係を築くことが求められるだろう。この方法を採用する場合、サービス提供の環境改善のために、自身のニーズを明確にし、フィードバックや報告の仕組みを作り上げるという観点で、市民の協力を乞う必要があるからだ。

 

この場合、近隣の管理や公共サービスの改善に関して、地方自治体と市民が協働体制を取ることが求められる。そして市民とサービス提供者をつなぐのはスマートフォンアプリやSMS(ショートメールサービス)だ。このアプローチでは、市民自体がセンサーの役割を果たすことになる。

 

これら2つのアプローチは相いれないわけではない。いずれにせよ、各都市がそれぞれの現状に適したアプローチを取る必要があるのだ。


次回は、スマートシティの実現に不可欠なビッグデータについてご説明します。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年10月に掲載した記事「Big Idea – The City – Megapolis Not a License for Megalomania」を、翻訳・編集したものです。

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連載スマートシティへの転換を目指すスリランカの都市計画

『ECHELON(エシュロン)』は、スリランカの三大ビジネス誌のひとつ。著名な経営者・ビジネスパーソンのインタビュー記事から、同国の金融・経済・投資・不動産などの最新事情、ラグジュアリーなアイテムやライフスタイル等の記事を幅広く掲載。経営者層やハイクラスなビジネスパーソンなど、同国の物的・知的富裕層を多数読者に抱える。(写真はチェアマンのChanna De Silva氏)

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