コロンボも「都市」ではない――スリランカの取るべき道とは?

写真:GTACスタッフ

都市計画の方向性を模索するスリランカですが、そもそもコロンボを筆頭とした各都市が真の都市化を遂げてはいない、という見方もあります。最終回は、スリランカに真の都市を根づかせるために必要な考え方を見ていきます。

真の「都市」を成立させために必要な精神とは?

2015年8月に開催されたパネルディスカッション時に筆者が主張したのは、都市とはそこに住む個々の心の集合体であるということだ。筆者はそこで次のように話した。

 

「都市とは多数の個や世界観が衝突する場所であり、それは自由で多元的な空間でもある。真の都市居住者は、相手を侵害し暴力的になることなく、様々な議論を引き起こす問題の中を掻き分け前進する術を身に付ける。閉鎖的で偏狭なのは、村意識をそのまま持ち寄ってきたエセ都会人なのだ」

 

単に物理的なインフラや行政面からではなく、都市を真の都市に変える要素とは何なのかを考えてみると、今日のコロンボは未だ都市とすら見なせないのではないだろうか。自由を謳歌できるライフスタイル、多様な文化の交流、権威に疑問符を投げかけたり、イノベーションセンスや起業家精神を発揮できること等々、都市を真の都市とみなす要素は様々あるのだろう。

 

これらの要素は互いに関連し合っているのだが、そのことを国はどこまで理解できているのだろうか(シンガポールは遅ればせながらもこれに気付いたため、様々な規制を緩め始めている)。これら実体のないものをどのように、養っていくことができるのか。そしてその担い手は果たしてエリートなのか?それともビジネスマンか?アーティストか?あるいは知識人だろうか。

 

本当の都市に必要な条件から隔ったスマートシティやメガポリスなどは、何一つ良いものではない。市民の権利に基づいた都市開発というアプローチなしでは、ICTを利用した「まちづくり」はむしろ市民の監視装置になりかねない。都市政策の策定過程で、あるいは都市空間を効率化するなかでビッグデータを利用することは増えてくるが、それには社会的弱者たちの保護とプライバシー管理に配慮することが、絶対必要条件だと専門家は言う。

市民を巻き込んだコンセンサス形成の重要性

政権が交代したにもかかわらず、スリランカは未だ汚職まみれで、横柄な官僚が残り、政治面でのご都合主義が抜けない。スリランカを統治する政治家は、「国の安全保障」の名のもと国民のプライバシーに関わる行動を監視することが大好きだ。今回のメガポリスあるいはスマートシティの一件も、国家の更なる威圧的な一歩に過ぎないのだろうか。

 

スリランカは未来への一歩を選択するために様々なアジェンダを扱う公開討論を早急に開催するべきなのだ。1970年後半を振り返れば、Mahaweli川開発プロジェクトはそのようなプロセスを辿ることはなく、とても残念だった。

 

そこから得られたはずの壮大な利益はさておき、更なる話し合いを積み重ねれば、先住民(ヴェッダ人)との衝突や、新設された灌漑用水路が起こした水質問題などのつまずきは避けられただろう。そして新政府は、地元のニーズや国民の熱烈な要望に応えられなかったハンバントタの一件による長年に及んだ失敗からも同じく学ぶ必要があるだろう。

 

「メガシティ」を錦の御旗に誇大妄想を広めることは許されない。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年10月に掲載した記事「Big Idea – The City – Megapolis Not a License for Megalomania」を、翻訳・編集したものです。

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連載スマートシティへの転換を目指すスリランカの都市計画

『ECHELON(エシュロン)』は、スリランカの三大ビジネス誌のひとつ。著名な経営者・ビジネスパーソンのインタビュー記事から、同国の金融・経済・投資・不動産などの最新事情、ラグジュアリーなアイテムやライフスタイル等の記事を幅広く掲載。経営者層やハイクラスなビジネスパーソンなど、同国の物的・知的富裕層を多数読者に抱える。(写真はチェアマンのChanna De Silva氏)

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