前回は、大学キャンパスの「都心回帰」がマンション投資にもたらす影響を説明しました。今回は、外国人が「東京の賃貸住宅」に住みたがる理由を見ていきます。

世界でもっとも安全な都市として知られる「東京」

東京一極集中のもうひとつの理由は、外国人人口の増加です。東京都の統計によると、外国人人口は、右肩上がりで増加を続けています。2011年の東日本大震災の直後は減少に転じましたが、それは一時的なもので2014年以降は再び増加しています。2015年には、約42 万人となり、40万人を突破しています。

 

外国人の人口を23区の区別に見ると、最も人数が多いのが新宿区で約3万6000人、次が江戸川区の約2万5000人、さらに足立区の約2万4000人と続いています。また、外国人人口の多い区トップ5はいずれも上昇を続けています。

 

[図表1]東京都の外国人人口の推移

 

[図表2]外国人の多い区トップ5

 

東京で外国人の人口が増えている背景には、「世界で最も安全な都市」として東京が第1位に輝いたことも貢献しているでしょう。

 

英誌「エコノミスト」の調査部門であるエコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が2015年に「安全な都市指数2015」を発表しました。この指数は、住んでいる人の平均寿命や生活コストなど44項目の指標から計算されます。

 

その結果、東京が85.6点でトップを獲得しました。2位はシンガポールの84.6点、3位が82.3点で大阪が続きました。トップ3のうち2つを日本の2大都市が獲得、日本がいかに安全か、さらに世界中に広まったといえるでしょう。

 

そんな日本の不動産市場が有望であることは、海外の投資家も認めています。マレーシアの公的年金である従業員退職積立基金(EPF)が2015年に三菱商事と組み、首都圏の物流施設を取得しています。

 

公的年金の運用では、長期で安定したリターンが求められます。ハイリスク・ハイリターンの運用は向いていません。その投資対象に日本の不動産が組み入れられたということは、リスクが低く、堅実な運用ができる対象として認められたということでもあります

需要に追いつかない供給…今後は家賃の上昇も

このように東京への一極集中によって、賃貸住宅需要は今後も拡大していきますが、一方で供給はそれほど増えていません。バブル崩壊によって落ち込んだワンルームマンションの供給戸数は、96年以降回復していましたが、近年は再び減少に転じています。

 

その原因のひとつとなっているのが東日本大震災の影響です。復興需要によって建築ニーズが高まり、人件費や建築費が高騰しています。

 

ワンルームマンションの建築に人も資材も回りにくくなっており、費用が高くなってしまうことから、建築がしにくい状況なのです。この状況はしばらく続くと考えられますから、今後は、供給不足による家賃の上昇も考えられるでしょう。

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    本連載は、2016年5月20日刊行の書籍『30歳から定年までで2億円つくるほったらかし資産運用術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。本書に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本書の内容は著者の個人的な見解を解説したものであり、著者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本書の情報を利用した結果による損害、損失についても、幻冬舎グループ、著者並びに本書制作関係者は一切の責任を負いません。投資のご判断はご自身の責任でお願いいたします。

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    宮園 泰人

    幻冬舎メディアコンサルティング

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