前回は、注文住宅の建築を成功に導く「住宅会社の選び方」について解説しました。今回は、「ハウスメーカー任せ」の家づくりが危険な理由について見ていきます。

「家」は失敗の出来ない買い物

「家」は、失敗の出来ない買い物です。注文住宅であれ、建売り住宅であれ、分譲のマンションであれ、いずれにしても決して安い買い物ではありません。契約をして、建物などの引渡しを受けて、後から「しまった!」と思っても、簡単に「やり直せばいい」というわけにはいきません。工務店を営む私でさえ、昔買ってしまった分譲マンションが足かせになって、理想の一戸建てを建てるのに相当の年月を費やしてしまいました。

 

そうした人生を左右する買い物ですから、信頼出来る住宅会社や大工に任せるだけではなく、最初から最後まで、彼らと一緒になって家づくりをするべきなのだと思います。もちろん、実際に現場で手を動かし家を建てていくのは職人ですが、主体はあくまでも施主ですし、施主自らが求める理想の家を建てるため、私たちはその想いや目的などを形にしていく手伝いをしているはずなのです。

 

そのために私たち建築家は、当然の話として、施主であるお客様の方を向いて、何を求め、どのような生活をしたいと思っているのか、どのような問題を解決したいと思っているのかを聞き、見極め、そしてそこにある課題を解決するために頭と手を動かしていく必要があります。

私利私欲に走り、施主を見ていない住宅会社も・・・

常に私たちの目線は施主を見ていなければならないのです。ところが、先ほども述べたように下請け時代の私たちはそうではありませんでした。

 

今、私たちに家づくりを依頼しているお客様も、当時、ハウスメーカーに依頼していたお客様も、家づくりに懸ける想いは同じだったのだろうと思います。簡単にやり直しは出来ないという事情も同じだったはずです。しかし、私たちは、お客様の方を向いてはいませんでした。自分たちが食べていけるように、とにかく一つでも多くの現場がほしいとだけ考えていたのです。

 

本当に恥ずかしい話ですが、最初は自分で釘を叩いて始めた仕事であったはずなのに、いつしか経営者になり、ハウスメーカー向けの営業マンになっていて、数をさばくことだけが大事だと思うようになっていました。私たちのお客様はいつしかハウスメーカーとなり、本当のお客様である施主には正直関心を持っていなかったのです。

 

もちろん、すべての住宅会社が同じではなかったと思います。ましてや今は景気が長らく低迷している時期ですから、ハウスメーカーのスタンスも一見変わってきています。昔よりも施主の方を向いていることは間違いないでしょうが、問題はその向き方です。地域密着の工務店などの方法も含めてさまざまに取り入れていますが、その目的は一にも二にも契約のためです。そのために、そのやり方はますます巧妙になってきているとさえ言えます。その点については、後述します。

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    本連載は、2017年4月12日刊行の書籍『改訂版「家づくり」は住宅会社選びで9割決まる 』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    改訂版「家づくり」は住宅会社選びで9割決まる

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    貞松 信人

    幻冬舎メディアコンサルティング

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