今回は、地方自治体による「創業融資」の概要について見ていきます。※本連載は、起業コンサルV-Spiritsグループの代表・中野裕哲氏の著書、『50歳からの起業術』(大和書房)より一部を抜粋し、シニア起業に必要な資金の調達方法について具体的に紹介します。

担保や保証が十分でなくても・・・

●低金利が魅力の自治体の制度融資

 

地方自治体の創業融資については、自治体そのものに貸出業務をする機能がないため、指定された信用金庫や銀行など金融機関が窓口となります。金融機関は都道府県や市区町村から預託金を預かり、融資を行ないます。

 

その際、信用保証協会という公的な保証機関が間に入り、起業家の保証人のような立場となります。起業家は信用保証協会に融資額の1%程度の信用保証料を払うことで、保証をしてもらうのです。自治体によっては、この信用保証料や利子を補給する制度を設けている場合があり、結果的にかなりの低金利になります。

 

このように自治体の創業融資では、金融機関と信用保証協会と連携することでリスクを抑え、担保や保証が十分でなくとも融資が行なえるようにしているのです。

 

融資の決定まで長くかかるのは、三者それぞれが審査を行なうためです。資金を入手できるとしても、申し込み後3か月くらいかかる可能性もあります。この点を十分に考慮してスケジュールを組む必要があります。また、事務所が自治体内にあることが求められる場合もありますので、拠点をどこに置くか決まったら、その自治体の制度をホームページで調べてみましょう。

 

自治体により創業融資の制度は大きく異なります。東京都の「創業サポート事業」のようにシニアや女性、若者の支援に力を入れているところも少なくないので、チェックしてみてください。

金利が低く、信用保証料も不要

「女性・若者・シニア創業サポート事業(東京)」を活用しよう

 

⃝利用できる方

 

●女性、若者(39歳以下)、シニア(55歳以上)で、創業の計画がある人、または創業後5年未満の人

●個人事業主、株式会社、NPO法人、一般社団法人、一般財団法人など

●東京都内に本店、または主たる事業所を置く創業事業であること

●地域の需要や雇用を支える事業であること

 

⃝条件

 

●創業規模は中小企業者の範囲に合致し、大企業が実質的に経営を支配していないこと

●公序良俗に問題のある事業、風俗営業などでないこと

●現在、かつ将来にわたって暴力団など反社会的勢力に該当しないこと

●法令などで定める租税についての未申告、滞納がないこと

 

⃝使いみち

新たに事業を始めるため、または新たな事業開始後に必要とする設備資金・運転資金

 

⃝融資限度額

1500万円(運転資金のみの場合は750万円)

 

⃝利率(年)

年利1%以内

※金利が低く、信用保証料も不要なので、東京で起業するシニアにはお勧めの融資制度です。

 

⃝返済期間

10年以内/うち据置期間3年以内

 

⃝担保

不要

50歳からの起業術 シニア起業と独立を成功に導く実践的ノウハウ61

50歳からの起業術 シニア起業と独立を成功に導く実践的ノウハウ61

中野 裕哲

大和書房

助成金、低金利融資―挑戦のベストタイミングがやってくる! セミナー講師、コンサルタント、システム開発会社、人材紹介業、行政書士、企画開発販売、飲食業、フランチャイズオーナー。人気コンサルタントが脱サラ・開業の…

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