前回は、テキサス不動産(アパート1棟物件)投資の事例を紹介しました。今回は、アメリカ不動産の「売主ファイナンス付き」の物件について見ていきます。

ローンを組まず、売主ファイナンス付きアパートに投資

前回の続きです。


50歳の外資系企業役員のAさん(男性)は、5億円の金融資産を持っていました。現状、大半を日本の株式と投資信託で運用していますが、これだとすべて円建て資産になってしまい、円安が進んだ時の為替リスクがあります。


そこで、ポートフォリオの安定性を高める上でも、金融資産だけでなく、不動産という実物資産を組み合わせます。また、不動産も日本国内ではなく海外の物件に投資することによって、通貨分散も同時に図っていこうという狙いです。経営者である以上、日本から離れることはできず、海外の不動産物件を取得したとしても、そこに住むわけにはいきません。ですから、購入する不動産物件はアパートなどの集合住宅にして、その部屋を賃貸に回します。そうすれば、定期的に家賃収入を得ることができます。


問題は、アメリカの銀行では外国人がローンを組むことへのハードルが高いということです。最近は外国人でもローンが組めるようになったのですが、審査に時間がかかりますし、借りる側の属性、例えば勤め先などの履歴も問われます。また、自営業だと、なかなか審査が通らないのが実情です。


その解決策として「売主ファイナンス付きアパート」を探すことになりました。


これには2つのパターンがあって、ひとつはアパートの売主からお金を借りる方法。もうひとつが、売主がローンで物件を取得していて、まだその残債がある場合、そのローンを引き継ぐ方法です。


Aさんが投資した物件では、売主のローンを引き継ぐことによって次の条件で資金の手当てを行いました。


●物件購入価格=175万ドル
●頭金+クロージング費=45万ドル
●売主ファイナンス額=130万ドル


この物件は、グロス利回りが21%で、ネット利回りが9%です。ネット利回りというのは、すでに説明したように、家賃収入から諸々の諸経費を差し引いた残りのキャッシュフローが、投資元本に対して何パーセントなのかを示しています。


これだけ大きなギャップがあるのはなぜかというと、この物件の住民は年収的に3万ドルから4万ドル程度のブルーカラーの労働者が中心なので、家賃滞納のリスクがあり、それがネット利回りを大きく押し下げているからです。


今後は家賃を現状の600ドルから750ドル程度まで引き上げること、物件を修繕し、バリューアップを図ることといった戦略を検討し、それを順次実行していく予定です。グロス利回りが21%もありますから、そこで生じているキャッシュフローを投資に充てれば、魅力的な物件になっていく可能性が高いと思われます。

 

 

[図表1]テキサス不動産投資をしたAさんの収支

経済的にも気候的にも魅力ある投資先、カリフォルニア

カリフォルニア州の面積は全米第3位で、日本の約1.1倍。人口は全米第1位で3725万人が住んでいます。アメリカ国民の8人に1人がカリフォルニア州に住んでいる計算になります。また、アメリカで人口の多い20都市のうち4都市が、カリフォルニア州の都市で、ロサンゼルス、サンディエゴ、サンノゼ、サンフランシスコがそれです。


2012年時点で、州内総生産は約2兆ドル。成長率は5%近くもあります。カリフォルニア州のGDPは、国際比較でも高い水準にあり、イタリアとほぼ同じです。また、フォーチュン誌が選ぶ全米上位500社の「フォーチュン500」にランクインしている企業が、一番多いのも特筆すべき点でしょう。


具体的にカリフォルニア州にはどういう産業が多いのかというと、サービス、不動産、情報産業が中心で、流通、製造業、金融を加えると、州内総生産の約8割を占めています。なお、農業が州内総生産に占める比率は1.6%程度です。


カリフォルニア州に本拠地を構えている企業は、アップル、アドビシステムズ、EBay、インテル、ウォルト・ディズニー・カンパニー、オラクル、グーグル、シスコシステムズ、シマンテック、ヒューレット・パッカードなど、枚挙に暇がありません。いずれもアメリカだけでなく、世界的に有名なグローバル企業ばかりです。


世界有数の企業が、これだけひとつの州に集まっているというのは、ファンダメンタルズ的にも非常に強い州であることを意味します。

 

 

[図表2]カリフォルニアの概要

本連載は、2014年4月25日刊行の書籍『究極の海外不動産投資』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は著者の個人的な見解を示したものであり、著者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、出版社、著者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

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