本連載は、税理士法人古田土会計の代表で、公認会計士・税理士の古田圡満氏の著書、『経営計画は利益を最初に決めなさい!」(あさ出版)の中から一部を抜粋し、社長自らが経営計画を作る重要性と具体的な経営計画の作成方法を紹介します。

「経営管理能力」と「業績」は比例する

どんな時代にあっても、優れた業績をあげている会社、安定した経営をしている会社の社長は、数字に強いことが共通しています。数字を専門に扱う会計事務所以上に、数字に強く、読解力(分析力や解説力)に優れているのです。会社の「経営管理能力と業績は比例する」のです。

 

ではどうすれば、経営管理能力が強くなるのでしょうか。それは経営者自らが、自分の会社の「経営計画」を作成することが一番の早道なのです。なぜなら、経営計画作成の過程で、経理の基本を学び、自社のあらゆることを数字でつかむ習慣が身につくからです。数字読解力といってもいいかもしれません。

 

経営計画は、経営理念・哲学・ミッションなどの思想と、戦略・戦術、数字による売上・利益目標、資金調達の運用などの数字の両面から成り立っています。本書は、現場のニーズを痛感し、第2部では、数字部分、特に利益計画と販売計画の作り方を中心に説明します。

 

経営計画の作り方は、大きく3つのステップにわけて考えています。

 

現状分析をする、⑵利益計画を作る、⑶販売計画を作る、の3つのステップで成り立っています。現状分析の仕方から説明しましょう。

自社の「現状分析」を行う際に見るべき8つのポイント

「現状分析してください」と古田土会計のお客様にお願いしても、「どう考えていいか」ととまどうケースが多く、ほとんどの経営者ができないと言っても過言ではないです。それだけ数字で会社のことを見ていないとも言えるのです。

 

私は、現状分析の際に見るべきポイントは以下の8つとお伝えしています。

 

⑴過去3期の損益計算書を社長がひと目でわかるように作る

⑵年間の売上高・粗利益・固定費をグラフにして傾向を読む

⑶お客様をABC分析して、重点主義を採用する

⑷事業形態を知る

⑸事業発展の哲理を知る

⑹過去のバランスシートから財務分析をする

⑺過去の資産運用実績表を作り、資金の流れをつかむ

⑻内部体制(設備・要員・システム)を洗い出す

 

最初にして最も大きな関門が、⑴「過去3期の損益計算書を社長がひと目でわかるように作る」です。損益計算書とは、ある一定期間における企業の経営成績を記したものです。一定期間のうちに、どのぐらいの収益が上がり、またその収益を上げるためにいくら費用を使ったかを書き記しています。(決算書はこの損益計算書と貸借対照表のふたつから成り立っています)

 

ただ、一般に会計事務所が税務署などに提出する決算書では、経営者にとってはその読み方がよくわからないのが実情です。そこで、経営者がひと目でわかるように作り変える必要があるのです。「作り変える」といっても、そんなに大変なことではありません。ご自身の会社の損益計算書を手元に置いて読んでみましょう。

本連載は、2017年2月26日刊行の書籍『経営計画は利益を最初に決めなさい!」から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

経営計画は利益を最初に決めなさい!

経営計画は利益を最初に決めなさい!

古田圡 満

あさ出版

社長にしかできないことは2つある。 ひとつはいかに理念を経営計画に盛り込むか(第1部で解説)。社員が理解できるように作成すると同時に、社長自身が取引先にもしっかりで説明できるようにしたい。もうひとつは商品別販売…

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