大企業であれば2,000万円を超えるといわれている退職金。「長い間、頑張ってきたなあ」と、感慨にふけるなか、思ってもいなかった事態に陥るケースがあるといいます。みていきましょう。
退職金2,000万円…「勝ち組確定の元・会社員」、退職後に悶絶する「知らなかった」ではすまされない悲劇 (※写真はイメージです/PIXTA)

羨望の退職金額のはずが…納税できずに焦るケースも

そんな退職金、多くの人が勘違いしていたり、知らなかった……というポイントが。そのひとつが税金です。退職金にも所得税や住民税がかかります。その事実を知らない人は結構多く、「あれ、退職金が少ない……」という事態が起きるのです。

 

また住民税の納付タイミングによるトラブルも。住民税の納付方法は「特別徴収」と「普通徴収」の2種類あり、会社員は特別徴収・会社員以外の人は普通徴収で納付します。会社員の場合、前年の所得によって決まった1年分の住民税が、6月から翌年の5月にかけて、毎月住民税が天引きされます。

 

退職時期が1~5月であれば、最後に勤めた月の給与から残りの住民税が「一括徴収」として天引きされます。3月末退職であれば、4~5月の住民税も最後の給与から差し控えます。そのため「やたらと税金が天引きされている……」となる場合も。

 

退職時期が6~12月の場合、退職月の翌月以降の住民税が普通徴収となり、自治体から送られてくる「納付書」を使い、自身で納めることになります。この事実を知らず、「税金なんて寝耳に水!」となるわけです。なかには「お金が足りない!」というケースも。ちなみに希望すれば退職月~翌5月までの住民税を退職金から一括徴収することも可能です。

 

退職金に対する税金に対しては、「退職所得金額控除」といった優遇措置もあり、想像以上に高いということはありません。ただ退職金を「頑張った自分へのご褒美」と捉えがちな人たちには、「所得があれば税金がかかる」という当然のことが抜けがち。思わぬ事態に直面することも珍しくありません。前年度の所得が分かっていれば、住民税額を計算できますので、あらかじめ納付額を確認し備えておくことが大切です。