親が子どもの夫婦関係に口を出すのは「過干渉な毒親」と思われがちですが、その背後には見過ごせない深刻な問題が隠れているケースもあります。本記事では、息子の離婚を望んでいる67歳女性の事例をもとに、親の希望で子どもの離婚を進めることの法的な可否について、山村法律事務所の代表弁護士・山村暢彦氏が解説します。※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。
「息子を離婚させたい…」〈年金月11万円・貯金2,500万円〉67歳母の願望。過干渉な毒親とは言えない〈もっともな理由〉【弁護士が解説】
「過干渉な毒親」と言われても…息子を離婚させたい67歳母
以前は明るく自分の意見をはっきり主張する性格だったショウタさんですが、すっかり覇気がなくなり、何かを尋ねても「ユカリの言う通りにするのが一番揉めないから」と返すばかりになりました。
自分の意思がなくなり、ただ嫁の顔色をうかがいながら従う状態になってしまったといいます。
そんなショウタさんの様子を見て、マチコさんは危機感を抱いています。いい年をした息子の結婚生活に親が介入するなど、世間から見れば行き過ぎた過干渉と思われるかもしれません。
しかし、そこには「なんとしても我が子を救い出したい」という、母親としての決意がありました。
果たして、親の希望で子どもの離婚を進めることは法的に可能なのでしょうか。また、不当な金銭要求に対して、どのように対処すべきなのでしょうか。
【弁護士が解説】親の希望で「息子の離婚」は進められるのか?
成人した子どもの夫婦関係に親が口を出すことは、一般には「過干渉」と受け取られがちです。しかし、本件のように、本人が配偶者の顔色を過度にうかがい、自分の意思を示せなくなっているのであれば、家族が異変に気づき、相談先につなげることには意味があります。
もっとも、離婚するかどうかを決めるのはあくまで息子本人です。母親が本人に代わって離婚を成立させたり、離婚訴訟を起こしたりすることはできません。まずはショウタさん自身が現在の夫婦関係をどう考えているのかを確認する必要があります。
また、父親の相続について、ユカリさん自身は相続人ではありません。ショウタさんが遺産を取得しなかったことについて、妻が法律上当然に取り分を請求できるわけでもありません。さらに、マチコさんが自分の老後資金から孫の習い事代を負担したり、自宅を売却したりする義務も通常ありません。
大切なのは、離婚を強く迫ることよりも、息子が自分の意思で判断できる環境を取り戻すことです。
そのためには、まず日頃から丁寧にコミュニケーションを取り、本人が何に困り、夫婦関係をどう感じているのかを聞きながら、気力や判断する力を取り戻せるよう支えることが大切です。そのうえで、必要に応じて金銭要求の記録や夫婦間のやりとりを整理し、本人が希望するのであれば、早い段階で第三者や弁護士に相談できるよう支えることが現実的でしょう。
山村 暢彦
弁護士法人山村法律事務所
代表弁護士
【注目のセミナー情報】
【実物資産】10月24日(土)
「日本刀投資」は他の実物資産と何が違う?
希少性・鑑定・保存状態…「価値」を見極め方を解説
【資産形成】11月5日(木)
富裕層のための「資産防衛と運用」
無駄な保険の見直しと、手元資金を守る投資のコツ