親が子どもの夫婦関係に口を出すのは「過干渉な毒親」と思われがちですが、その背後には見過ごせない深刻な問題が隠れているケースもあります。本記事では、息子の離婚を望んでいる67歳女性の事例をもとに、親の希望で子どもの離婚を進めることの法的な可否について、山村法律事務所の代表弁護士・山村暢彦氏が解説します。※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。
(※画像はイメージです/PIXTA)
「息子を離婚させたい…」〈年金月11万円・貯金2,500万円〉67歳母の願望。過干渉な毒親とは言えない〈もっともな理由〉【弁護士が解説】
「父の遺産は母さんに」息子の優しさが引き金で豹変した嫁
マチコさん(仮名・67歳)は、3年前に夫を見送り、現在は夫婦で購入した持ち家で一人暮らしをしています。都内の中堅商社に勤める一人息子のショウタさん(仮名・35歳)とは、昔から良好な関係を築いてきました。
そんなマチコさんは、息子であるショウタさんの離婚を望んでいます。その原因は、3年前の夫の他界に伴う「遺産分割」にありました。
当時のショウタさんは「父さんの遺産はすべて母さんの老後資金にして」と、自ら進んで相続を辞退してくれました。ショウタさんの心遣いにマチコさんは誇らしげな気持ちになりました。
しかしその直後、親族が集まる場でショウタさんの妻・ユカリさん(仮名・35歳)が「なんで勝手に放棄するのか」と割り込んできました。
その日を境にユカリさんは、マチコさんに対する態度を変えていきました。
「孫の習い事代を払って」老後資金2,500万円をあてにする息子の嫁
マチコさんの現在の収入は、月に約11万円の年金のみです。夫が遺してくれた分も含めた約2,500万円の貯金を少しずつ切り崩しながら、堅実に生活しています。
しかし、ユカリさんは遺産をもらい損ねた腹いせのように、事あるごとにマチコさんの資産に目をつけるようになったのです。
「孫の習い事代を払ってほしい」「将来のために今の家を売って現金化してほしい」など、マチコさんの生活を度外視した要求が次々と送られてくるようになったのです。
さらにマチコさんを絶望させたのは、たまに一人で帰省してくる息子の異変でした。