充実した設備や手厚いサービスが高級老人ホームの魅力ですが、高額な入居一時金を支払っても、その後の生活が約束されるわけではありません。運営会社の経営悪化によってサービスが縮小したり、事業譲渡によって運営体制が変わったりする可能性もあります。本記事では、入居一時金6,000万円の高級老人ホームに入居した70代夫婦の事例をもとに、施設選びで見落としてはいけないポイントを、元介護施設職員のFPの武田拓也氏が解説します。
社宅暮らしで資産2億円を築いた70代夫婦の誤算。「入居一時金6,000万円」の高級老人ホームに入居も…3年後、優雅な老後を揺るがした〈異変〉【元介護施設職員のFPが解説】
【元介護施設職員のFPが解説】老後資金と住まいを守るために…高級老人ホームの契約前に確認したい「3つのポイント」
1. 前払金の返還条件と保全内容
初期償却、償却期間、退去時の返還計算に加え、「誰が」「いくら」「どのような条件で」保証されるのかを確認します。「保全措置あり」の一言で判断せず、保証契約や保証状などの内容まで確かめましょう。
2. 運営会社の財務と現場の状況
厚生労働省の標準指導指針では、前払金を受け取るホームについて入居者や入居希望者の求めに応じ、貸借対照表・損益計算書またはその要旨を閲覧に供することとされています。
赤字の継続、借入負担、入居率などを確認し、判断が難しければ専門家に相談しましょう。見学の際は設備の豪華さに加えて職員の定着率や対応、食事の様子を見ることも重要です。
3. 住み替えに備えた資金と選択肢
入居時の支払いについて、一時金方式と月払い方式がある場合は総支払額だけでなく、前払いする金額や途中退去時の扱いも比較します。介護費用の増加や別のホームへの転居が重なっても対応できる資金を手元に残しておきたいところです。
経営悪化の通知が届いた場合は「契約の承継」「返還義務」「保全の継続」について書面で説明を求め、所在地の自治体窓口や必要に応じて弁護士などに相談することが考えられます。
「高いお金を払ったから安心」と思いたくなるのは自然なことです。しかし、老人ホームへの入居は「その運営会社と長く付き合う契約」でもあります。
自分たちの資金計画と施設の経営・契約内容などを事前に確かめておくことが、大切な資産と老後の暮らしを守る第一歩になります。
武田 拓也
元介護施設職員/AFP
※プライバシー保護の観点から、実際の相談者および相談内容を一部変更しています。
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