【CFPが助言】我慢ではなく「あらかじめ決める」…老後の安心を守るための“正しい線引き”

それでは、サツキさんは孫への支出をきっぱりとやめるべきなのでしょうか。

「娘も大変そうだから」「やっと生まれた孫だから」「ひとりで家にいるより、あの子たちのところに行くほうが楽しい」とサツキさんが語るように、そこにはお金では測れない価値があるのも事実です。

だからこそ、この問題は「支出を減らせばよい」という単純な話ではないのです。ポイントは「我慢すること」ではなく、「あらかじめ決めておくこと」です。

たとえば、以下のようなルールが有効です。

・訪問の頻度を見直す(月に1回→2ヵ月に1回)
・交通費は自分で負担するが、生活費は子世帯の負担とするなど、役割を分ける
・年間15万円まで、など上限を決める
・お金以外の支援(家事や育児のサポート)を増やす

こうした基準があれば、「今回は難しい」と伝えやすくなります。感情ではなく、ルールで判断するだけで、「できる範囲で支える」形に変えていくことができます。

また、「これからの生活を考えて、少しずつ見直したい」と子世帯に伝えましょう。ひとりで抱え込まないことも大切です。

孫のために使うお金は無駄ではない…「できる範囲」でサポートする決断

サツキさんは、少しずつ支出の見直しを始めました。パートも再開したいと考えています。アイさんの家へ訪問する回数を減らし、渡すお金にも上限を設けました。

「全部は無理だけど、できる範囲で応援したいの」とアイさんに伝えたことで、サツキさんの気持ちも少し軽くなりました。

孫のために使うお金は、決して無駄ではありません。むしろ、その時間や経験は、人生を豊かにする大切な支出です。

ただし、「気づかないまま続いてしまう支出」には注意が必要です。老後資金は、余ったお金ではなく、これからの生活そのものです。そのなかで、どこまで誰のために使うのか。

その線引きを自分で持てるかどうかが、おひとりさま老後の安心を大きく左右します。いま一度、自分なりのバランスを見つめ直してみることが大切です。

石川 亜希子
CFP

※個人情報保護の観点から、登場人物の情報を一部変更しています。

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