「孫のために、できることはしてあげたい」そう思うのは、ごく自然な感情です。ただ、その気持ちが、自分の老後資金を少しずつ削っているとしたらどうでしょうか。善意から始まったはずの支出が、将来の安心を揺らしてしまうこともあります。本記事では、年金月11万円で暮らす70歳女性の事例をもとに、おひとりさま老後の安心を守るための「支出の線引き」について、CFPの石川亜希子氏が解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
「孫の顔が見たかっただけなのに…」年金月11万円・70歳おひとりさま女性の後悔。「待望の孫誕生」の喜びと引き換えに〈消えゆく老後資金1,200万円〉【CFPが助言】
夫を亡くして無気力…年金月11万円・70歳女性が「待望の孫誕生」で取り戻した活力
1年前に夫を亡くしたサツキさん(仮名・70歳)は、現在ひとり暮らしをしています。年金は月約11万円、預貯金は約1,200万円あります。
夫が亡くなってからは無気力感に襲われてしまい、パートも辞めてしまいました。そんなサツキさんでしたが、最近、気力が戻るような出来事がありました。
新幹線で1時間ほどの距離に住む、結婚8年目の長女・アイさん(仮名・38歳)夫婦に、待望の第一子が誕生したのです。なかなか子どもに恵まれず、アイさんがつらい期間を過ごしていたことを知っていたため、サツキさんも心から喜んでいました。
サツキさんも張り切って里帰りを支え、忙しくも充実した日々を過ごすうちに、以前のような活力を取り戻していきました。
往復1万円の交通費に生活費の支援…娘と孫のために激減した「老後資金」
育児休業後に職場復帰したアイさんですが、家事や育児との両立に苦労しているようでした。高齢出産ということもあってか、週末には疲れ果てて寝込んでしまう姿も見受けられました。
また、アイさんの夫は仕事の帰りが遅いため、サツキさんが食材や孫へのお土産など、両手いっぱいの荷物を抱えてたびたび手伝いに行くようになりました。
しかし、アイさんの家までは交通費だけで往復約1万円かかります。さらに食材やお土産に数千円を使い、帰り際には「生活費の足しに」と1万円を置いてくることも。
「孫の顔が見たかっただけなのに、どうしてこんなことに……」
こうした生活を続けるうちに、サツキさんの預貯金はみるみる減っていきました。