平均寿命が伸びたことで「人生100年時代」と呼ばれるようになりました。長生きは喜ばしいことですが、長生きをすることでお金が先になくなってしまうリスクもあります。2,000万円の老後資金があっても、いつまでも安泰とは言えないのです。独身男性の戸口様(仮名・67歳)の事例を通して、人生100年時代を生き抜くために必要な金額と資産形成の方法を見ていきましょう。本稿は、資産運用の本当の意味についてFPの前田敏氏が解説します。
「長生きはしたいけど、お金の寿命が先に尽きてしまう」預金2,000万円の67歳独身男性が突きつけられた〈87歳で貯蓄ゼロ〉の現実【FPが解説】

67歳・独身男性「預金2,000万円あるのに老後が不安」の理由

「今は何とか生活できていますが、パートを辞めたあとのお金が心配です」

 

そう相談に訪れたのは、独身男性の戸口様(仮名・67歳)です。62歳の妹様がいるものの、日頃の交流はほとんどありません。

 

現在の収入は、年金が月約10万円、パート収入が月約10万円の合計約20万円です。生活費はアパートの家賃を含めてほぼ月20万円で、現在は収支が均衡しています。

 

大きな借金はなく、預貯金も約2,000万円を保有していますが、戸口様には大きな不安がありました。それは、体力の低下によってパート収入を得られなくなったあとの生活です。

 

「老後資金2,000万円問題」は本当に解決したのか?

戸口様は、ご自身で将来の家計を試算されていました。

 

仮にパートを辞めた場合、月20万円程度の生活費に対し、収入は年金の約10万円のみとなります。すると、毎月約10万円の赤字となり、年間では約120万円の預貯金の取り崩しが必要になるのです。

 

預貯金2,000万円を毎月10万円ずつ取り崩した場合、単純計算では約16~17年で資金が底をつく計算です。戸口様の17年後は84歳。仮に70歳でパートを辞めた場合でも、87歳前後で預貯金がなくなる可能性があります。

 

長生きは喜ばしいことですが、その一方で「お金の寿命が人生の寿命より短い」というリスクがあります。戸口様は、

 

「長生きすること自体はありがたいことですが、お金が先になくなるのが怖いんです」

 

と話されました。