2026年の米国株式市場は、S&P500や全世界株式が高値圏を推移する一方、半導体株の下落や地政学リスクにより不透明な局面が続いています。しかし、11月に控える「中間選挙」の過去データ(2000年以降の6回)を紐解くと、選挙から1年後の株価は「例外なく上昇」しており、うち3回は2桁成長を記録しています。本記事では、YouTubeチャンネル登録者数40万人超の人気FPである鳥海翔氏が、過去の株価急上昇を支えた政策の歴史と、2026年後半に期待される「3つの上昇材料」を解説します。
2000年以降は勝率100%…「S&P500」が米国中間選挙後に上昇するワケ【FPが解説】
過去の「2桁成長」を支えた、政府の大規模な金利・減税政策
過去に2桁成長を遂げた3つの年を詳しく分析すると、政府がどのような対策を講じて株価を押し上げたのかが明確になります。
2002年の事例
ITバブル崩壊期だったこの時期は、金利の大幅な引き下げを断行しました。2001年1月に6.5%に設定されていた政策金利を、2002年11月には1.25%に引き下げ、さらに2003年6月には1.0%まで低下させました。2年間で5.0%を超える大幅な利下げを実施したことになります。
これに加えて、2003年には大規模な税制改革を行いました。配当課税の最高税率を38.6%から15%に引き下げ、長期のキャピタルゲイン税率も20%から15%に軽減しました。さらに、企業の設備投資における即時償却の割合を30%から50%へ引き上げました。
これら大規模な金融緩和と減税の結果、選挙が終了した2002年11月から1年間でS&P500はプラス14.9%上昇しました。さらに、翌年2003年の1年間における配当込みS&P500のリターンはプラス28.7%という好成績を記録しました。
2018年の事例
中間選挙の直前である2018年12月までは、金融引き締め策に伴う利上げが継続されており、政策金利は2.25%から2.5%の水準に達していました。しかし、選挙が終了した翌月の2019年1月には追加利上げが停止されました。さらに、2019年7月からは0.25%の利下げが実施され、9月、10月と断続的に引き下げが行われました。
その結果、政策金利は1.5%から1.7%の範囲にまで低下しました。この金利の引き下げ政策により、選挙終了からの1年間で株価はプラス11.7%上昇し、2019年の通年における配当込みS&P500はプラス31.5%の急成長を遂げました。
2022年の事例
この時期は、インフレ抑制を目的とした0.75%という急激なペースでの利上げが実施されていました。しかし、中間選挙終了後の2022年12月には利上げ幅が0.5%に縮小され、2023年2月には0.25%へとさらに引き下げられました。これと並行して、米国内における半導体の生産や研究開発を支援するために、520億ドルを投入する経済対策を実施しました。
結果として、選挙終了からの1年間で株価はプラス14.5%となり、2023年の通年における配当込みS&P500はプラス26.3%のリターンを記録しました。
これらの歴史が証明する通り、選挙そのものが株価を上げているのではなく、選挙後に政府が打ち出す具体的な政策が、翌年の景気と株価を力強く支えているのです。
長期金利抑制や物価安定…2026年後半に期待される「3つの上昇材料」
過去の好調期と同様に、2026年後半から2027年にかけても、米国政府による複数の具体的な上昇シナリオが用意されています。注目すべき主な上昇材料は以下の3点です。
上昇材料1:長期金利の上昇抑制策
米国財務省は、10年から30年国債の買い戻し枠を、これまでの20億ドルから40億ドル超へと引き上げる方針を決定しています。この措置は2026年の9月から11月にかけて実施される予定です。国債の買い戻しによって長期金利の急騰が抑えられれば、金利に対して敏感な株式市場にとっては追い風となります。
上昇材料2:生活必需品やエネルギーの価格安定策
有権者の最大の関心事である物価上昇への対策として、食品やガソリンの価格を引き下げる政策を推進しています。すでに牛肉に対する関税を緩和する措置や、燃料の供給量を拡大させる政策が始まっています。さらに、その他の関税を緩和する方針についても検討を進めています。物価が落ち着けば、利上げへの懸念が払拭され、市場全体の安定につながります。
上昇材料3:前年の減税措置に伴う追加設備投資
前年に実行された減税政策の効果が、本格的に企業業績へ表れる時期を迎えています。税負担が軽減された企業は、潤沢な手元資金をもとに活発な設備投資を行うと期待されています。
これらの金利抑制、物価低下、設備投資の活性化が連鎖することにより、企業業績は好調を維持し、株価の上昇トレンドを支える強固な基盤が形成されます。