「孫や子どものために」とよかれと思って続ける資金援助。しかし、援助する側が「お金を出してあげているのだから」と口出しをしてしまうと、受け取る側にとっては重荷となり、家族関係に亀裂を生むケースも少なくありません。本記事では、経済的に余裕のある73歳女性が息子夫婦の結婚式費用などを援助してきた結果、息子の妻から激怒された事例をもとに、対等な家族の距離感を保つための「資金援助の在り方」をCFPの山﨑裕佳子氏が解説します。
「お義母さん、いい加減にしてください」…息子夫婦に資金援助を続ける〈貯金5,000万円〉73歳女性。招待した高級フレンチで、息子の妻が“怒りを爆発させた”ワケ
「お金=愛情」ではない…「受け取り側の気持ちを尊重する」対等な家族関係
援助を受ける側が「断りにくい」と感じてしまう関係は、家族間の力関係に歪みが生じてしまいます。つまり、対等な関係ではなくなってしまうのです。
ユウコさん夫婦に今後必要なのは、「何でもしてあげる祖父母」から「子どもや孫の選択を尊重する祖父母」への転換なのでしょう。
また、ユウコさん夫婦の生活を支える老後資金は、「一度使ってしまうと取り戻せないお金」でもあります。自分たちの老後を犠牲にしてまで子どもや孫に援助を続ける必要はありません。子どもや孫もそれを望んではいないでしょう。
自分たちの生活をしっかり守りながら、そのうえで無理のない範囲で家族を応援する。それが子どもや孫にとって安心できる援助の在り方ではないでしょうか。
「独りよがりの援助」ではなく「受け取り側の気持ちを尊重する」。それこそが、長く続く家族関係にとって何より大切な財産になるのです。
【CFPの助言】余裕のある経済状態でも油断禁物…老後は“想定外の出費”に備える
ユウコさん夫婦は生活に十分なゆとりがあることで、息子夫婦や孫に対する資金援助が一種のライフワークのようになっていました。
しかし、ユウコさん夫婦はまだ70代に突入したばかりです。この先30年近く人生が続く可能性もあります。一般的に年齢が上がれば、医療費や介護費の支出は増加するでしょう。また、住宅の修繕費や車の買い替えなど断続的にまとまった資金が必要なタイミングも出てくると思います。
もし、有料老人ホームなどへの住み替えなどが必要になれば、ならさらまとまった資金が必要になります。特に今は現役並みの収入がある夫のタケシさんが完全退職し、収入が減ったあとの生活をある程度予測しておくことが大切です。
一度膨らんだ生活レベルを落とすことは簡単ではないため、想定外に早く資産が目減りしていく可能性も否定できません。客観的にみると余裕のある経済状態であっても、当事者からすると減り続ける預金通帳を眺めるのは精神面でやるせなさを感じてしまう人もいます。
子どもや孫への援助は良いことですが、QOL(生活の質)を下げてしまうことのないよう、自分たちのために上手に使うことにシフトしていきましょう。
山﨑 裕佳子
FP事務所MIRAI
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
CFP®
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