「孫や子どものために」とよかれと思って続ける資金援助。しかし、援助する側が「お金を出してあげているのだから」と口出しをしてしまうと、受け取る側にとっては重荷となり、家族関係に亀裂を生むケースも少なくありません。本記事では、経済的に余裕のある73歳女性が息子夫婦の結婚式費用などを援助してきた結果、息子の妻から激怒された事例をもとに、対等な家族の距離感を保つための「資金援助の在り方」をCFPの山﨑裕佳子氏が解説します。
「お義母さん、いい加減にしてください」…息子夫婦に資金援助を続ける〈貯金5,000万円〉73歳女性。招待した高級フレンチで、息子の妻が“怒りを爆発させた”ワケ
「お義母さん、私の実家を見下していますよね?」息子の妻、ついに怒り爆発
「お義母さん、私の実家を馬鹿にするのもいい加減にしてください」
キョトンとした表情のユウコさんを横目に、ミキさんは静かに怒りながら続けます。
「お義母さんは、ずっと私の実家のこと見下していますよね。たしかにうちは平凡な家庭なので、お義母さんのようにお金を出してもらうことはできませんが、ハルトを可愛いと思う気持ちはお義母さんと同じです」
資金援助を盾にしてユウコさんの好きなようにされてしまうこと、その無神経さに本当は苛立っていたミキさん。
これまでミキさんは、夫のソウタさんに相談しても「実際、助かってるんだからいいじゃないか」と取り合ってもらえませんでした。それでも本心ではずっと不快に感じており、長い間ため込んでいた怒りを爆発させたのです。
せっかくのお祝いの席は一転して重苦しい空気に包まれ、食事会は険悪なムードのままお開きとなってしまいました。
「勝手にお金を出すのは控えるわ」息子の妻への謝罪と、見直した“家族の距離感”
「息子や孫の喜ぶ顔がみたくて」と、息子夫婦や孫に対してよかれと思って援助を続けてきたユウコさん。ところが、息子の妻・ミキさんが反発したのは「お金を出してほしくない」という単純なことではなく、「長い間、自分の実家を蔑まれていると感じていた」ことが根幹にありました。
そこで後日、ユウコさんは「見下しているつもりはまったくなかったけど、そう感じさせていたのなら申し訳なかった」とミキさんに謝罪しました。
そして、これからは「必要なときは、相談してね。こちらから勝手にお金を出すのは控えるわね」と伝えました。するとミキさんも、これまで受けてきた援助に対しては素直にお礼を言いました。
食事会での出来事をきっかけに、ユウコさん夫婦は自分たちの老後資金についてしっかり話し合うことにしました。毎月の生活費、年金収入、預貯金、住宅費、そして今後予想される医療、介護費などを整理して「これから先、いくらまでなら安心して使えるか」を数字で把握することにしたのです。
今回の衝突は「お金をめぐる家族の亀裂」で終わらず、老後資金と家族との距離感を見直すきっかけになりました。