20年かけても5,000万円未満…資産拡大の明暗を分ける「最後の5年間」

実際の過去データを用いたシミュレーションを確認すると、資産は毎年綺麗に右肩上がりで増えていったわけではないことがわかります。長く停滞する我慢の時期が続いたあとに、最後のわずか数年で爆発的に急増するのが運用のリアルな実態です。

最も期間を要した「2000年1月スタート(1億円達成まで25年)」の具体的な推移を追うと、その極端な値動きが明確になります。

スタート〜5年目(2004年12月):積立完了期 毎月30万円を5年間コツコツ積み立て、元本1,800万円の積立を終了した時点の資産額は1,953万円です。

15年目(2014年12月):10年間放置した後 追加投資をせず10年間寝かせた時点の資産額は3,326万円に留まります。

20年目(2019年12月):さらに5年経過した後 運用開始から20年が経過した時点でも資産額は4,730万円であり、元本の3倍にも届かず、5,000万円の大台すら突破できていません。

25年目(2024年12月):最後の5年間 ここから劇的な変化が起こります。2019年から2024年にかけてのわずか5年間で、4,730万円だった資産が一気に1億2,500万円へと急増しました。

約20年という長い歳月をかけても5,000万円に届かなかった資産が、最後のたった5年間で2倍以上に膨れ上がり、一気に1億円を突破したことになります。この「最後の5年間で一気に増える」という現象は、2001年スタートや2002年スタートのケースでも全く同様に確認されています。

2001年1月スタート(1億円達成まで24年)の推移

積立終了時点(5年目):2,026万円

10年放置した時点(15年目):3,404万円

さらに5年経過した時点(20年目):5,363万円

最後の5年間を経過した時点(24年目):1億4,800万円に急上昇

2002年1月スタート(1億円達成まで23年)の推移

積立終了時点(5年目):2,306万円

10年放置した時点(15年目):3,563万円

さらに5年経過した時点(20年目):7,450万円

最後の5年間を経過した時点(23年目):1億4,600万円に急上昇

驚くべきことに、投資を開始した時期がそれぞれ数年ずつずれているにもかかわらず、すべてのパターンにおいて1億円の大台を突破した時期は、市場が猛烈に急上昇した「2024年2月」という同じタイミングに集中しています。

このデータが示す通り、長期投資においては、15年や20年といった大半の期間は地道な停滞期であり、資産形成の成否は「最後の数年間における急上昇期の爆発的な力」によってもたらされるのです。

「運がよかった」だけ?…急激な上昇相場を捉える「稲妻が光る瞬間」

この資産推移の結果をどのように解釈するかによって、将来資産を増やせるかどうかの道が明確に分かれます。

資産を増やせない人は、この結果を見て「たまたま最後の5年間が好調だっただけであり、再現性がない」と判断して片付けてしまいます。一方で、資産を増やせる人は「長期で運用を続けていれば、確率論としてこのような劇的な急上昇期に遭遇できる」と考えます。

市場には、短期間で株価が爆発的に上昇する「稲妻が光る瞬間」が存在します。この瞬間がいつ訪れるかは誰にも予測できません。明日かもしれないし、1年後や10年後かもしれません。この稲妻が光る瞬間に、ある程度のまとまった資金(1,800万円の枠を埋めた状態)を市場に置いておけるかどうかが、資産形成の成否を決定づけます。

投資を行わない状態は、いわば「下りエスカレーター」を自力で登るようなものです。物価の上昇や税金の増加、自身の体力の衰えという厳しい環境のなか、労働による努力だけで登り続けようとしても、力尽きて足を止めれば元の場所、あるいはそれ以下に押し流されてしまいます。

これに対し、投資を行うことは「上りエスカレーター」に乗ることを意味します。長期にわたって乗り続けることで、ときとして驚異的なスピードで上昇する高速エレベーターのような急上昇局面の恩恵を受けることが可能になります。