「老後のために」と築いてきた資産。しかし、一緒に使うはずだった相手を失ったあとも、お金だけは増え続けました。年金だけで生活できるのに、配当まで入ってくる――。73歳になった男性は、なぜ「もう増えなくていい」と怯えるようになったのでしょうか。FPの三原由紀氏が解説します。
「何もしなくても、お金が増えてしまうんですよ」…資産1億8,000万円・配当年400万円の73歳男性、有り余るお金に喜ぶどころか「もう十分」と怯える理由【FPの助言】
「お金の管理」と「住まい」、独り身だからこそ考えたいこと
では、佐々木さんはどうすればよいのでしょうか。
まず考えたいのは、年間約400万円の配当が、これからの暮らしに本当に必要なのかということです。医療保険の負担を抑えるために高配当株を売る、という単純な話ではありません。今後の生活費や医療・介護費を見積もり、いまの資産構成が73歳の自分に合っているかを確認することが出発点になります。
そのうえで、優先して考えたいことが大きく2つあります。
ひとつは、「いつまで自分でお金を管理できるか」です。いまは問題なく管理できても、加齢とともに判断力は変わっていきます。元気なうちに、任意後見制度や民事信託(いわゆる家族信託)など、判断力が低下したときに備える仕組みについて専門家に相談しておくことも選択肢です。
もうひとつは、「これから、どこでどう暮らすか」です。親から受け継いだ家に住み続ける場合と、医療や介護のサービスが整った住まいへ移る場合とでは、必要なお金も暮らし方も変わってきます。
加えて、子どものいない佐々木さんには、残った財産を誰にどう託すかというテーマも残ります。甥や姪などの親族への承継や、遺贈、寄付など、選べる形はひとつではありません。
厚生労働省によると、2022年の男性の健康寿命は平均72.57歳。73歳になれば途端に健康を損なうわけではありませんが、元気なうちに暮らしとお金を考える節目とはいえるでしょう。
制度改正のニュースは、偶然にも資産を棚卸しするきっかけになりました。あなたも「いつまで自分で管理し、どこで暮らし、最後は誰に託すか」を考えてみてはいかがでしょうか。
(参考)
厚生労働省「後期高齢者医療制度における金融所得の公平な反映について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_00014.html
厚生労働省「平均寿命と健康寿命」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/hale/h-01-002
三原 由紀
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