期待を胸に、シニアマンションへ移住した〈年金月16万円〉〈貯金4,000万円〉72歳女性

「孫にも会えず、今年の夏も一人でした……」

長年連れ添った夫と死別してから、一人静かに過ごす日々のなかで寂しさが募っていたカズミさん(仮名・72歳)。人生の残りの時間をもっと充実させたいという想いから、シニア向け分譲マンションへの住み替えを決断しました。

自身の年金と遺族厚生年金を合わせた月額約16万円の収入に加え、自宅売却代金など約4,000万円の貯蓄があり、マンションの購入費用や毎月の管理費・生活費も、試算では無理なく払える計画でした。

レストランや大浴場、趣味のサークルなど、充実した環境を前にして、「ここなら娘も安心してくれるだろうし、孫も気兼ねなく遊びに来てくれるはず」と、カズミさんは期待で胸がいっぱいでした。

賑わうロビーで一人きり…「どうして私だけ」夏の終わりに感じた孤独 

ところが8月になり、娘から「仕事と子どもの習い事が重なって行けそうにない」との連絡が届きました。

実は昨年の夏も、娘一家のスケジュールが合わず、カズミさんは孫の顔を見ることができませんでした。「今年こそは、この新しいマンションの充実した施設で一緒に楽しく過ごせるはず」と心待ちにしていただけに、気持ちは沈みました。

娘に気を遣って「無理しないで、私も充実してるから大丈夫よ」と明るく返信したものの、共用ロビーで他の入居者が子どもや孫と嬉しそうに出かける姿ばかりが目に入ります。

地方で息子夫婦と同居している妹からの「姉さんはいいわね。私なんて毎日毎日、孫の世話で大変よ」という愚痴さえ羨ましく感じられました。

「どうして私だけ今年も一人なの……」と、カズミさんの目からは涙がこぼれました。

後日、娘に「本当は寂しかったの」と本音を打ち明けると、「マンションに移って毎日楽しく過ごしているんじゃなかったの?」と心底驚いた様子。親子間で認識の大きなズレも明らかになりました。