遺族の生活を支える「遺族年金」ですが、現行制度において高所得の遺族は受給要件を満たさず、子どもへの遺族基礎年金も「支給停止」となってしまうケースが存在します。しかし、2028年4月に予定されている法改正により、子どもへの支給要件が見直され、受給額が大幅に増える見込みです。世帯年収2,000万円・子ども3人を育てる40代夫婦の事例をもとに、遺族年金制度の改正ポイントと注意点を、特定社会保険労務士・CFPの五十嵐義典氏が試算を交えて解説します。
〈世帯年収2,000万円〉3人の子を育てる44歳妻、夫の急逝で「遺族基礎年金ゼロ」に落胆も…「え、そんなにもらえるんですか?」受給見込み額が“激変”するワケ【社労士FPが解説】
【社労士FPが解説】2028年4月から、子への「遺族基礎年金」支給停止要件が改正
以上のように、現状、ミキさん一家に支給される遺族年金は、3人の子に対する遺族厚生年金のみです。
しかし、2028年4月に遺族基礎年金の制度改正が予定されています。改正後は、生計を同じくする父または母がいる場合でも、子どもが遺族基礎年金を受給できるようになるのです。
2028年4月時点で、リョウタさんは高校1年生、シュンさんは中学2年生、レナさんは小学5年生になり、いずれもまだ18歳未満であるため、改正後は3人とも遺族基礎年金の受給対象です。また、法改正により「子の加算額」が増えることにもなり、支給額は現行よりも高くなります。
改正後、子ども3人の遺族年金額は…
子が3人いる場合の遺族基礎年金の加算額(年額)は、現行の32万5,100円(24万3,800円+8万1,300円)から、58万5,000円(29万2,500円×2※)に増える見込みです。
※ 2026年度時点での試算。
したがって、遺族基礎年金の合計額(3人分)は下記のようになります。
基本額84万7,300円+58万5,000円=143万2,300円
リョウタさんが高校を卒業すると、高校生までの子はシュンさん、レナさんの2人になり、子の加算は1人分の29万2,500円になります。すると、遺族基礎年金の合計額(2人分)は下記のように変化します。
基本額84万7,300円+29万2,500円=113万9,800円
さらに、その後シュンさんが高校を卒業すると、子はレナさん1人となり、子が1人の場合は加算がなくなります。したがって、遺族基礎年金の合計額(1人分)は下記のように変化します。
基本額84万7,300円
遺族厚生年金については、改正後も引き続き年額合計75万円(高校生までの子の数に応じて1人あたりの額は変動)受給が可能です。
その後、レナさんが高校を卒業すると、子に対する遺族基礎年金・遺族厚生年金はともに受給終了となります。
子育て世帯を支える制度改正
年金事務所で説明を受けたミキさんは、「遺族基礎年金ゼロ」という現行制度の壁に一度は落胆したものの、法改正後のおおよその支給額も知ることができ、「え、そんなにもらえるんですか?」と思わず声を上げました。受給見込み額が“激変”することを知り、少しだけ将来への希望が見えたようです。
ここまでみてきたように、2028年4月に年金制度の大きな改正が行われます。遺族基礎年金の支給停止が解除され、子の加算額も増えるため、子育て世帯を支える内容であるといえます。
高校生までの子がいる家庭で遺族年金の対象となる場合には、その手続きの際、いつからいつまで、いくら支給されるかを年金事務所等で確認するようにしましょう。
五十嵐 義典
特定社会保険労務士/CFP®
株式会社よこはまライフプランニング 代表取締役
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