老後の生活資金を見据えて投資を考える際、「毎月いくら積み立てれば安心なのか」と悩む方は多いでしょう。なかには、金融機関などが語る「投資額が多いほど複利効果が高まる」というセールストークを信じ、家計に無理をしてまで積立額を多めに設定している方もいるかもしれません。しかし、YouTube登録者数40万人超の人気FP・鳥海翔氏によれば、それは大きな「誤解」だといいます。本記事では、月5万円と10万円の比較から複利効果を紐解き、老後に必要な資金を正確に把握して「自分に合った適正な投資額」を導き出すための具体的なステップを解説します。
「投資額を増やすほど複利効果は高まる」の誤解…〈月5万円〉と〈月10万円〉の積立比較でわかる、入金額よりも〈重要な要素〉【FPが解説】
老後の生活費を把握する際、見落としがちな「3つ」のポイント
目標額を正確に設定するためには、現在の支出を過去1年間のクレジットカードや通帳の明細から洗い出し、正しく把握することも重要です。このとき、多くの人が見落としがちなポイントがあります。
(1)“大物”の支出の頻度・金額
車の購入や住宅の修繕費用など、数十万円~数百万円単位の支出を「例外」として除外してはいけません。
たとえば、300万円の車を5年ごとに買い替える場合、月換算で5万円の支出が発生していることになります。基本の生活費が25万円であっても、実質的な支出は30万円として計算しなければなりません。この認識のズレが、将来の資金不足に直結します。
(2)支出の分類
現在の生活費が、そのまま老後もキープされるわけではありません。
食費や通信費のような「変わらないもの」、教育費や住宅ローンのような「減るもの」、そして旅行や医療費のような「増えるもの」の3つに分類し、大きな項目から足し引きを行って老後の生活費を算出しましょう。
(3)物価上昇率の考慮
(1)と(2)に基づいて計算した老後の生活費×1.2倍~1.5倍で、最終的な目標額を設定しましょう。
仮に年間2%の物価上昇が続けば、20年後の物価は約1.5倍に達するため、額面どおりに資金を用意しても実質的な生活水準を維持できなくなります。
「目標額に届かない」と絶望する前に…3つの現実的対策
これらのポイントを踏まえて計算した結果、当初の想定よりもはるかに多額の資金が必要なことがわかり、絶望的な結果に直面する方もいるでしょう。しかし、早い段階で現実を直視できれば対策は可能です。
具体的にとれる対策は下記の3つです。
1.可能であれば積立金額を引き上げる
2.積立だけでなく手元のまとまった資金を活用した「一括投資」を検討する
3.生活費を工夫する(収支の見直し)
将来の不安を解消するためには、漠然と積立額を増やすのではなく、支出やインフレ率を加味して「老後に必要な本当の金額」を冷静に算出する必要があります。現在地を把握したうえで、ムリなく確実性の高い戦略を練ることが大切です。
鳥海 翔
株式会社Challenger 代表取締役
FP(ファイナンシャル・プランナー)/投資家
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