老後の生活資金を見据えて投資を考える際、「毎月いくら積み立てれば安心なのか」と悩む方は多いでしょう。なかには、金融機関などが語る「投資額が多いほど複利効果が高まる」というセールストークを信じ、家計に無理をしてまで積立額を多めに設定している方もいるかもしれません。しかし、YouTube登録者数40万人超の人気FP・鳥海翔氏によれば、それは大きな「誤解」だといいます。本記事では、月5万円と10万円の比較から複利効果を紐解き、老後に必要な資金を正確に把握して「自分に合った適正な投資額」を導き出すための具体的なステップを解説します。
「投資額を増やすほど複利効果は高まる」の誤解…〈月5万円〉と〈月10万円〉の積立比較でわかる、入金額よりも〈重要な要素〉【FPが解説】
複利効果を最大化するのは、金額ではなく「時間」
投資初心者が抱きがちな誤解として、「積立額を増やせば、その分複利効果によって将来的に大きな差が生まれる」というものがあります。
しかし、「月5万円の投資」と「月10万円の投資」を比較するとどうなるでしょう。
■月5万円を20年間、年利5%で積み立てた場合
元本1,200万円→約2,056万円
■月10万円を20年間、年利5%で積み立てた場合
元本2,400万円→約4,112万円
元本が2倍になれば、運用結果も綺麗に2倍になるだけであり、金額を増やしたからといって特別な複利効果が発揮されるわけではありません。
複利の効果を最大化する要素は「金額」ではなく、株式市場に資金を晒している「時間」です。たとえば、総額1,200万円を20年かけて少しずつ積み立てる場合、20年目に投資した資金は1年しか運用されません。
一方、最初に1,200万円を一括投資して20年間運用した場合、結果は約3,183万円となり、積立投資の約2,056万円を大きく上回ります。
証券会社やインフルエンサーは積立額を増やすことを推奨しがちですが、本質的な複利効果を得るためには、投資期間を長く確保する「一括投資」が有効です。
投資額は「将来いくら必要か」からの逆算で決まる
最適な投資額を決定するためには、「どのくらい投資すればお得か」ではなく、「将来いくら必要なのか」から逆算する必要があります。
しかし、ここで「なんとなく毎月25万円くらい必要だろう」という感覚的な設定のまま逆算を始めると、その前提が間違っていた場合にすべての計画が破綻してしまいます。正確な逆算には、「金融電卓」と検索し、ウェルスアドバイザーのHPなどを活用することをおすすめします※。
まず「資産を取り崩す」シミュレーションを行いましょう。たとえば、同サイトで「毎月の取り崩し額(年金とは別に取り崩す金額)」を「10万円」、「受取期間」を「30年間(65歳~95歳まで)」、「利回り」を「5%」と入力すると、老後約1,886万円必要なことがわかります。
次に「貯める・増やす」シミュレーションに移行します。「目標金額」に「1,886万円」、「運用期間」に「15年間(50歳~65歳まで)」、「利回り」に「5%」と入力すると、毎月の投資額は7.1万円であることがわかります。
つまり、7.1万円を15年間にわたって積立投資すれば、1886万円が作れるというわけです。ここで月々の負担が重い場合は、「運用期間」を延ばしたり、「初期投資額」を多めに設定したりすることで調整が可能です。
