救急隊員になったからこそ見えた医師への道
── 医学部を目指したきっかけを教えてください。
立石:救急の現場で活動するなかで、医師の指示がなければできない処置があることを実感しました。
そうした経験から、「自分で判断し、自分で処置ができる医師になりたい」と思うようになりました。
── もともと医療系を目指していたのでしょうか。
立石:いえ、まったく考えていませんでした。文系の大学に進学し、「4年間でやりたいことを見つけよう」と考えていました。大学3年生の頃、公務員に興味を持ち、卒業後は消防士として約3年間勤務しました。
教員や一般企業への転職も検討…医学部受験を決断するまで
──医学部を目指すまでに迷いはありましたか。
立石:かなりありました。2024年夏頃から転職を考え、教員や一般企業への転職も検討していました。
その頃、大学院の博士課程で学ぶ同じ年のいとこを見て、「自分ももう一度勉強したい」と思うようになりました。改めてやりたいことを考えた結果、医療を専門的に学びたいという思いが最も強く、医学部受験を決めました。
ただ、仕事を辞めることや、予備校の費用、進学後の生活を考えると、2〜3カ月は悩みました。
──ご家族の反応はいかがでしたか。
立石:最後に背中を押してくれたのは母です。父はすでに他界していましたし、1年で結果が出る保証もありませんでしたが、母が「せっかくなら挑戦してみたら」と言ってくれました。合格を一番喜んでくれたのも母でした。
職場にも退職時に医学部を目指すことを伝えました。合格後にあいさつへ行くと、「1年で受かるとは思わなかった」と驚かれました。特にお世話になった上司が喜んでくださったこともうれしかったですね。
「1年で決める」ため、私立大学を中心に受験
──志望校はどのように決めましたか。
立石:「1年で合格する」と決めていたため、文系出身で全科目が必要な国公立大学は厳しいと考え、私立大学を中心に受験しました。
受験校は、まず大学案内などを見て「ここなら進学したい」と思える大学を選び、そのうえで過去問を解き、自分と問題傾向の相性がよい大学を受験しました。金沢医科大学も、その一つでした。
高校卒業から8年…完全個別指導を選んだ理由
──仕事と受験勉強はどのように両立しましたか。
立石:私は文系出身で、医学部受験の進め方がわからなかったため、教師をしている母に相談しました。母の同僚で医学部受験に詳しい先生から予備校をいくつか紹介してもらい、自分でも調べたうえでメディカルラボを選びました。
そして2025年1月にメディカルラボへ入校し、3月までは消防士として働きながら通いました。4月から仕事を辞め、受験勉強に専念しました。
最初から英語、数学、生物、化学を並行して学びました。勤務日や休日に合わせて授業を組んでもらえたので、仕事との両立もしやすかったです。私は家では勉強できないタイプなので、時間があれば校舎へ行きました。自宅から約20分で通えたことも大きかったですね。
──そもそもメディカルラボを選んだ決め手は何だったのでしょうか?
立石:校舎がきれいで通いやすかったことと、完全個別指導だったことです。高校卒業から8年が経ち、数学や理科はほぼゼロからのスタートでした。集団授業では自分の苦手分野に十分な時間をかけられず、自分で進める形式にも限界があると感じていました。
大学時代、公務員試験のため集団授業の予備校へ通いましたが、コロナ禍でオンライン授業になり、一人で勉強する難しさも経験しました。そのため、自分には1対1で個別のカリキュラムを組んでもらう方法が合うと考えました。
得意な英語を、さらに確実な得点源へ
──医学部受験では数学と理科が大事になってくると思うのですが、どのように勉強しましたか。
立石:数学は苦手で、理科も高校では理科基礎までしか履修していませんでした。先生から出された課題や教わった解き方を徹底的に繰り返し、「できない分は練習量で補う」と考えていました。参考書は1冊か2冊に絞り、解き方を確実に定着させることを意識して、何周も繰り返しました。公務員試験でも、この方法で結果を出せた経験があったからです。
生物は思った以上に理解が進みましたが、数学と化学はなかなか点数が伸びませんでした。午前中に重点的に取り組み、間違えた問題には印を付け、わからない問題は何度でも質問しました。質問への対応に授業時間を使っていただくこともあり、個別指導ならではの手厚さを実感しました。
──英語については、どのような指導を受けましたか。
立石:英語は得意科目でしたが、医学部受験では文法が弱点だと分かりました。担当の先生に相談すると、細かいところまで一から教えてくださり、英文も読みやすくなりました。
カリキュラムは数学と英語が週3回、生物と化学が週1回でした。苦手な数学は逃げられない環境をつくり、得意な英語はさらに伸ばす方針です。
夏期講習では化学を週2回に増やしてもらいました。担当講師についても、自分に合った先生にご担当いただき、学習方針についても担任に相談しながら進めることができました。柔軟に対応してもらえたのがありがたかったです。
──勉強を続けるうえで不安はありましたか。
立石:長時間集中できるかが不安でした。最初は休憩のつもりが30分たってしまうこともありましたが、4月頃には勉強習慣が身につきました。
集中できない日は、スマートフォンをメディカルラボの個人用ロッカーへ入れました。担当スタッフとの面談も月1回、多いときは月2回あり、集中力などの悩みを相談できました。
また、単元ごとのチェックテストで、理解したつもりになっている部分を確認できました。化学は週1回の授業だったため、疑問がたまることもありましたが、現役医学生のチューターに気軽に質問できる環境がありました。疑問をその都度解消できたことで、安心して学習を進めることができました。
社会人の強みは「自己分析力」
──社会人経験は医学部受験にどう生きましたか?
立石:社会人の強みは、自己分析ができることだと思います。仕事や就職活動を通じて、自分の強みや弱み、現在地を客観的に見られるようになりました。どの科目が足りないか、演習量を増やすべき分野はどこかを判断できたからこそ、カリキュラムや講師についても相談できました。
現役時代は、自分に合う勉強法もわからず、やりたいことをやりたいように勉強していました。公務員試験を通じて勉強法が確立したことも、社会人再受験の強みになりました。
年齢的に受験期間が限られるプレッシャーはありましたが、それ以外に大きな不利は感じませんでした。
不合格が続いても、「もっと数学、もっと化学」
──医学部入試が始まってからはどんなふうに勉強を続けていったのでしょうか?
立石:実は、入試の滑り出しは悪く、不合格が続きました。落ち込むより、「これだけやってもまだ足りないのか」という悔しさのほうが大きかったです。
課題は数学と化学だと分かっていたので、不合格になるたびに「もっと数学、もっと化学」と考え、勉強を続けました。不合格が続いても挫けなかったのは、就職活動で不合格を経験し、落ち込んでも状況は変わらないと分かっていたことも大きかったと思います。
──面接や小論文については、どのように対策しましたか。
立石:推薦選抜は年齢などの条件から受けず、一般選抜に絞りました。
面接対策では、志望理由書や想定質問への答え方を練習しました。志望理由書は自分で大まかな内容を作り、大学が求める人物像に合わせて先生に添削していただきました。
文系の小論文には経験がありましたが、医療系のテーマは難しいと感じていました。授業では医療問題や時事問題も含めて対策し、医学部特有の小論文にも取り組みやすくなりました。
合格につながった要因
──合格につながった一番の要因は何だったと思いますか。
立石:一番大きかったのは英語です。メディカルラボでは、金沢医科大学の過去問を約10年分用意していただき、継続的に対策しました。本番は60分ですが、授業では50分以内に解き切る練習を続けました。「英語で点を取れるから大丈夫」と思えたことは、学力面だけでなく精神面でも大きかったです。
また、英語以外の科目は、昔のセンター試験に近いマーク式でした。私はセンター試験を利用して大学に進学していたので、形式との相性も良かったと思います。
大学ごとの特徴や入試傾向について、メディカルラボの先生や担当者から情報を得られたことも役立ちました。
社会人再受験生へ伝えたいこと
──改めて、医学部再受験を考える社会人に伝えたいことはありますか。
立石:社会人再受験生は、現役生や浪人生より遅れた状態からスタートすることになります。短期間で追いつき、さらに合格レベルまで上げなければなりません。
完全個別指導であれば、わからない部分にすぐ対応してもらえ、自分の状況に応じてカリキュラムも変更できます。私自身、数学や理科がほぼゼロからだったため、自分一人で進めるより効率的だったと思います。
また、社会人には自己分析力があります。自分に足りないものを判断し、必要に応じて周囲へ相談できれば、社会人経験を強みに変えられると思います。
──挑戦して良かったと感じることは何ですか。
立石:一番は、母が喜ぶ姿を見られたことです。父には十分な恩返しができないまま亡くなってしまったので、母には何か恩返しをしたいと思っていました。今も学生生活で迷惑をかけていますが、合格を本当に喜んでくれました。
──どんな医師になりたいか展望を教えてください。
立石:現時点で診療科は決めていませんが、救急の専門医になりたいという思いがあります。救急隊員として、もっと早く処置ができればと感じる場面を見てきました。将来は救急医として、一人でも多くの患者さんを救える医師になりたいと考えています。

