「一人で大丈夫、迷惑はかけない」。そう言い切った母を、息子は少し誇らしく思っていました。実際、暮らしぶりに困った様子は見えなかったからです。ところがある日、郵便物を整理していて目にした紙の束。そこに並んだ数字を見て、息子は言葉を失います。そこには、よくある「親のお金の話」に見えて、実は多くの家庭に潜む“落とし穴”がありました。FPの三原由紀氏が詳しく解説します。
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「仕送りは必要ないわ」…父の死後、年金月16万円でも“大丈夫”と言っていた母。3年後、実家で見つけた〈見慣れない封筒〉に息子が“思わず叫んだ”ワケ【FPが解説】
「大丈夫」という親の言葉の真意
淳一さんに付き添われて相談した淑子さんは、専門機関のサポートのもと、カード会社と交渉して今後発生する利息(手数料)を免除してもらいました。そして、「もしものときのため」に大切に取っておいた150万円の貯金を取り崩して、残りの元金をまとめて返済。自動リボだった残り2枚のカードも解約しました。
淑子さんの場合、最悪の事態にならずに済んだのは、淳一さんが早い段階で気づき、二人で専門機関に相談できたからです。発覚がもっと遅れていたら、返済できないほどの金額に膨れ上がっていた可能性もあるでしょう。
しかし、「これですべて解決」ではありません。手元の貯蓄は底をつき、頼りになるのは「年金だけ」という厳しい現実が残っているからです。
まず取り組みやすいのは、支出の見直しです。毎月必ずかかり続ける固定費から見直すだけでも、家計の圧迫感は変わってきます。あわせて、71歳という年齢でも、週2~3日程度の軽作業パートなど、無理のない範囲での就労を検討する余地もあるでしょう。
それでも難しい場合は、自宅を活用したリースバックやリバースモーゲージ、あるいは将来的な相続を前提に、息子である淳一さんへ仕送りを頼む方法も選択肢になり得ます。「いずれこのマンションを渡す代わりに、今は助けてほしい」という形であれば、一方的に頼る形にはなりません。
親が言う「大丈夫」というひと言は、本気で問題がないという意味ではなく、「子どもに心配や迷惑をかけたくない」という親心なのかもしれません。その言葉をそのまま受け取るのではなく、時には一緒に通帳を開いたり、世間話のついでにお金の話をしてみたりと、小さな一歩から“見守り”を始めてみてはいかがでしょうか。
三原 由紀
プレ定年専門FP®