「一人で大丈夫、迷惑はかけない」。そう言い切った母を、息子は少し誇らしく思っていました。実際、暮らしぶりに困った様子は見えなかったからです。ところがある日、郵便物を整理していて目にした紙の束。そこに並んだ数字を見て、息子は言葉を失います。そこには、よくある「親のお金の話」に見えて、実は多くの家庭に潜む“落とし穴”がありました。FPの三原由紀氏が詳しく解説します。
「仕送りは必要ないわ」…父の死後、年金月16万円でも“大丈夫”と言っていた母。3年後、実家で見つけた〈見慣れない封筒〉に息子が“思わず叫んだ”ワケ【FPが解説】
「気づかないうちにリボ払いになっていた」は特別なことではない
この状況は、一見「使いすぎたのでは」と本人の落ち度として片づけたくなるかもしれません。しかし実際には、贅沢のための借金ではなく、年金だけでは足りない生活費を補うために、複数のカードを使い分けていたケースに近いものです。
こうした「意図しないリボ払い」は、決して淑子さん一人の特殊な事例ではありません。国民生活センターが2025年10月に公表した情報でも、数年前にショッピングモールの勧誘でカードを作り、自動でリボ払いだったことに気づかないまま利用を続け、残高が発覚した60歳代の相談事例が紹介されています。ポイント還元のキャンペーン条件に自動リボ払いが組み込まれ、申込内容を見落としたまま手続きが進むケースは珍しくないといいます。
これは、本人の知識が乏しいから起きる問題でもありません。長年、家計管理を配偶者が担っていた家庭では、配偶者を亡くした後に初めてカードやキャッシュレス決済を自分で管理することになるケースも少なくなく、慣れない仕組みを一人で確認する負担は、年齢を重ねるほど重くなりやすいものです。
魔法の解決策はない。それでも、今からできること
リボ払いは、月々の支払額が一定に見えるため「きちんと払い終えている」と錯覚しやすい仕組みです。現役世代であれば、ボーナスなどでまとめて完済できることもありますが、年金生活では収入を増やす手段が限られ、「来月まとめて返そう」が難しくなります。
だからこそ、高齢者ほどリボ払いから抜け出しにくくなるのです。支払額の多くが手数料に充てられ、元金が思うように減らないことも少なくありません。手数料の実質年率は15%前後にのぼることもあり、年金という限られた収入の中では、この負担はより深刻になります。
そのため、「そもそもリボ払いを使わないこと」が重要です。まず、手元のカードが「自動リボ払い」の設定になっていないかを確認しましょう。会員サイトやアプリ、電話の自動音声から確認・解除できますが、解除しても一括返済をしない限り、過去分の残高への支払いは続く点に注意が必要です。
すでにリボ払いを使い、残高が大きく膨らんでしまっている場合は、自己判断で放置せず、日本クレジットカウンセリング協会や消費生活センターなどに早めに相談することをおすすめします。返済計画の見直しや任意整理も無料で相談でき、年金収入のみの高齢者でも利用できます。
「通帳や請求書を一緒に見る機会」を定期的に作ることは、仮に金銭援助ができなくても、家族としてできる“家計を見守る関わり方”です。