近年は住宅価格や家賃の高騰を背景に、住居費を抑える選択肢としてシェアハウスを選ぶ人が増えています。しかし、家賃の安さだけで契約すると、共同生活のトラブルや契約内容の見落としから、思わぬ出費につながることもあります。わずか1ヵ月でシェアハウスを退去し、想定外の出費を背負うことになった31歳会社員・ユウキさんの事例をもとに、後悔しない住まい選びのポイントを辻本剛士CFPが解説します。
「半年以内に家を出て行って」年金暮らしの親から宣告…手取り25万円・31歳男性が〈シェアハウス〉入居も、1ヵ月で「実家へUターン」したワケ【CFPが解説】
「こんなはずじゃなかった…」共有スペースの私物化とルール無視の惨状
ユウキさんが選んだのは、全12室のシェアハウスでした。家賃は月6万円、キッチンや浴室、トイレ、リビングは入居者全員で共有するタイプです。
家具や家電はあらかじめ備え付けられており、初期費用も一般的な賃貸より安く済みました。入居者も20~30代が中心と聞き、「同世代ばかりなら楽しく暮らせそうだ」と新生活に期待を膨らませていました。
ところが、入居して間もなく、その期待は裏切られます。
冷蔵庫に名前を書いて保管していた飲み物や食品が、いつの間にかなくなっていたのです。さらに、共有リビングではフリーランスの女性が深夜までオンライン会議を行い、リビングを長時間占拠することも珍しくありませんでした。
そこに追い打ちをかけたのが、掃除やゴミ出しです。当番制だったにもかかわらず、担当日を守らない住人が相次ぎ、トイレや洗面所は汚れたまま。誰も片付けようとせず、不満だけが積もっていきました。
住み始めてわずか2週間ほどで、ユウキさんは「こんな生活が続くのか」と大きなストレスを感じるようになります。
隣人に逆ギレされ限界に…わずか1ヵ月で退去し「実家へUターン」
入居から約1ヵ月が経ったある夜、隣室の住人が友人を招いて大騒ぎしていました。翌日の仕事を控えたユウキさんが注意すると、酔った相手に「自分の部屋だから別にいいだろ」と逆ギレされ、口論に発展しました。
ルールが曖昧なシェアハウスでの共同生活ストレスに、ユウキさんは限界を迎えます。この出来事が決定打となり、退去を決意。
しかし、契約には最低入居期間が設けられており、それ以前に退去すると短期解約違約金が発生する仕組みになっていました。
結局、入居時の敷金や引っ越し費用で約12万円、退去時には短期解約違約金として2ヵ月分の家賃12万円に加え、クリーニング代5万円が発生。合計29万円もの出費となってしまいました。
こうしてユウキさんは、わずか1ヵ月でシェアハウスを退去し、実家へ戻ることになります。住居費を節約するつもりが、結果として大きな出費を招く、苦い経験となってしまったのです。