2026年5月29日、「医療保険制度改正法」が成立しました。今回の改正により、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度において、特定口座で得た運用利益が保険料の算定に反映されるようになります。本記事では、YouTubeチャンネル登録者数40万人超の人気FP・鳥海翔氏が、この制度の仕組みと現実的な対策について解説します。
26年5月成立〈医療保険制度改正法〉で「75歳以上の投資家」に大打撃…“利益を出すほど”社会保険料が上がる新ルール【FPが解説】
非課税枠が余っているなら、いますぐ「NISA口座」へ
このような制度変更に対し、現時点で最も確実な対策は「NISA」の最大限の活用です。
まだNISAの非課税枠が余っている人は、四の五のいわずに特定口座で運用している資金を速やかに売却し、NISA口座へ移すべきです。
売却時にわずかな税金が発生することを嫌う投資家もいますが、目先の税金を惜しんで特定口座で運用を続ければ、将来的に膨らんだ利益に対してより多額の税金と社会保険料を支払うことになります。
一方で、すでに自身のNISA枠を使い切っている人は、特定口座で運用を続けるしかありません。ただし、自分一人だけで考えるのではなく、家族や子どものNISA枠を活用し、世帯全体で非課税枠を利用して資産を守るという考え方が最も合理的です。
【シミュレーション】一度売却してリセット→再運用する手法
では、NISA枠がない場合、「医療保険制度改正法」が始まる前に一度特定口座の資金を売却して税金を払い、利益をリセットした状態から再運用を始めるという手法は有効でしょうか。
シミュレーションしてみたところ、結果は運用利回りによって異なります。
(1)1,000万円が2,000万円に増えた状態から20年間定期売却していく場合
(2)1,000万円が2,000万円に増えた段階で一度売却(金融所得税200万円)し、1,800万円から20年間定期売却していく場合
年利5%での運用であれば、(2)のほうが最終的な手取りが約35万円増加するという結果が出ました(東京都での計算例)。
しかし、年利8%で運用できると仮定した場合、(1)の途中で売却せずに運用を続けたほうが手取りが約13万円多くなるという逆転現象が起きます。
投資の成功は、中身を正しく評価して利益を出すことと、制度の変更に対応して手取りを守る出口戦略の両輪で成り立ちます。
医療保険制度改正法の成立により、特定口座での運用は将来の社会保険料負担という新たなリスクを抱えることになりました。一概にどの戦略が最適かはいまのところ明言できませんが、自身のNISA枠の空き状況や想定利回りを冷静に確認し、最適な資産防衛策をとっていきましょう。
鳥海 翔
株式会社Challenger 代表取締役
FP(ファイナンシャル・プランナー)/投資家
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